死せる孔明 生ける仲達を走らす

「やっぱり息子さんも絵を描いてはるんですか?」
「いえ」
「じゃ、息子さんは何を?」
「僕は音楽の方を…」

最近、何度この問答に見舞われたことやら。親父の友人知人はもちろんのこと、葬儀屋の人や母親の友人にまで同じことを訊かれ、同じ返事をした。そしてその都度、自分が音楽から完全に遠ざかってしまっていることを実感させられたのだが、だからと言って「僕は特に何も…」とは口が裂けても言えず、自分の中で何とも言えない歯痒さが募った。で、その後、私がどういう結論を出して、どう動き出したのかは皆さんご存知の通り。

考えてみれば、驚くべきことに、私を焚き付けたのは親父だったというわけだ。


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