親父の名言に「本音は墓場まで」というのがある。
私は「本音を言えない」ということについてずっと悩んでいた。
本音を言えないー自分でも痛いほど自覚しているし、他人からも耳にタコができるほど繰り返し指摘されるし…自分の中に憤怒にも似た苦悩があったのである。
だから、酒を飲める歳になって以降、酒を飲みながら、何度か親父に相談をした。
最終的に親父はこう言った。「誰かが僕に「本音を言え」って言ってきたとする。僕は「ホンマにええねんな?」って繰り返し訊いてからそいつに「死ね!」って言うと思う。それはお前も一緒やろ?だから、本音なんて、一生言うたらアカンねん」
親父のこの言葉を、痛いほどよくわかる、わかってしまう自分が嫌だ。