私は、自分が生まれて初めて、笑いを取りにいった瞬間を、今でもはっきりと覚えている。
それは小学2年の時だった。
担任は「岩本」という、割と厳しい、不細工なオバハンだった。
その日、キノコ頭の私は、かんじれんしゅうちょうを開き、点線をなぞって漢字を書いていた。先生の指示に従って、赤、青、黄といった、色にまつわる漢字を書いていた。
授業中、先生が皆に問うた。「みんな、赤といえば何を思い浮かべますか?」
皆が「信号!」「郵便ポスト!」などと答える中、私は「うどん!」と答えた。
「じゃ、緑は?」と先生。
皆が「○○くんの着てる服!」「葉っぱ!」などと答える中、私は「そば!」と答えた。
これは実話。一切誇張していない。
はっきり言って全くウケなかった。先生は「一憩くんは独特ですね…」と顔を引きつらせて失笑し、友達たちは皆、私のこれでも喰らえ的な勢いに押されて少し笑いはしたものの一様に「???」といった感じだった。でも、私は、その時の心境をはっきりと覚えている。
「ボクが一番面白い」
失笑と「?」に見舞われても、自分が一番面白いと思う感じ。
失笑と「?」に見舞われれば見舞われるほど、自分が一番面白いと思う感じ。
一番面白いと思うことをやればやるほど、失笑と「?」に見舞われてしまう感じ。
今も全く変わらない。