おいしくなあれ

曲って、完成したばかりの時はシンプル極まる形をしておるわけですが、スタジオでバンドのメンバーと一緒にああでもないこうでもないと言って様々なアレンジを施していくうちに随分と変形していくわけです。で、その後、バンドが解散。ソロに転向。アコギ一本で表現するようになると今度は、バンド時代に施したアレンジを取り除く必要に迫られるようになり、曲がそうすることを望んでいるような気がしてならなくなり、可能な限りシンプルな形に戻そうとするわけですが、ここでミラクルが起こります。

何をどうやっても、どこをどう削ぎ落としても、完成したばかりの、あのシンプル極まる形には戻らない。何かが根本的に変化してる。曲が成長してる。

ぬか漬けにした野菜を桶から取り出して洗う。徹底的に洗って、ぬかを完全に取り除く。にもかかわらず、野菜の味は完全に変わってるー子供の頃、不思議でならなかったあの現象と同じようなことが、かつて自分が作り、現在も生き残っている曲たちに起こっています。


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