FAVORITE ALBUM 10

トップメニューのプロフィール欄に「FAVORITE ALBUM 10」という項目を追加した。「死んで、あの世に10枚だけ持っていけるとしたら何を持っていく?」と訊かれた場合に迷いなく答える10枚だ。

俺の音楽に触れて、「ロックってええやん!」と思ってくれる人がいたとして、「何を聴けば良いんだろう」となった場合の参考になればと思う。

最高だな。俺の音楽をきっかけにロックを好きになってもらえたら。


『WHY?』さらに深化、絶対的名曲へ

『WHY?』

WHY?なぜ嘘をつくの?

誰一人 欺けやしないのに

WHY?なぜ笑えるの?

何一つ 生み出せやしないくせに

 

差し伸べた手を振り払い

最愛の人が堕ちてゆく

 

何度も言った

愛している

「NO THANK YOU」

聞こえないふりをして

途方に暮れている

 

WHY?なぜ受け入れるの?

信用するに値せぬホラ吹きを

WHY?なぜ突き放すの?

一直線に伸びるこの純愛を

 

差し伸べた手を振り払い

最愛の人が堕ちてゆく

 

底なしの純粋

弄ぶ寄生虫

お前らを許さない

 

差し伸べた手を振り払い

最愛の人が堕ちてゆく

 

どこへも行かずに

ここにいてくれ

ぎこちなく聞こえないふりをして

笑顔で哭いている

笑顔で哭いている

涙も見せずに

笑顔で哭いている


先日、スタジオで歌ってみたのだが、尺に違和感を感じて、一部歌詞を書き加える必要に迫られた。

作曲は早いが作詞に時間のかかる俺。一部ではあるが納得のいく言葉を見つけるのに3日かかった。赤い文字で記した一節がそれに当たる。

「最愛の人」は音楽の事なので、「底なしの純粋」の持ち主も音楽の事である。では、俺が許さないと言っている「底なしの純粋を弄ぶ寄生虫」とは誰のこと?当ブログの読者にはきっとわかってもらえるだろうと思う。ついに俺の怒りも来るところまで来た。怒りというものはやはり、突き抜けると哀しみに変わる。

ようやく完成した。

名曲は世話がかかる。


ただのバインダーにあらず

介護士だった時、何が嫌って夜勤が嫌だった。何十人もの老人を一人で見るんだから、怖くて仕方なかった。

何が起こるかわからない。認知症の人はウロウロ歩き回るし、暗闇の中、エレベーターホールでお爺さんが頭から血を流して倒れていたこともあったし、看取りをしたことも一度や二度ではない。

とにかく怖かった。なので、その怖さに打ち克つべく、夜勤の時に使っていたのがこのバインダーである。ステッカーが剥がれてくるたびにセロテープで修繕した。感慨深い一品である。

現在は歌詞を書く時に使用している。バインダーなんて百均でいくらでも売っているが、買い換える気になれない。これを使えば浮かばない言葉も浮かんでくるからである。


だから私は嫌われる

海賊ライチでライターを担当してくれている本田純正は、劇団を主宰している脚本家で、同時に演者でもある。俺に「音楽やってる人たちってやたらと立て続けにライブやるけど、1回のライブをどう捉えてんの?練習はするとしても、他にライブの為に準備することってないん?」と言ったのは彼で、目から鱗。確実に俺の考え方を変えた。今や良き相談相手。エグゼクティブ・アドバイザー的な役目を担ってくれている。

最近、俺の中で、ブッキングイベントというものへの興味が加速度的に褪せてきている。ブッキングイベントに出て他のアーティストを観ても、良いと思えるのは10組に1組いるかどうか。ほとんどが観ていて苦痛でしかない。そんなのを俺を観に来てくれた人たちに見せるのはいつも本当に心苦しいし、「そんなのと一緒にやっている」というところが影響して、俺への評価があるポイントで止まって、そこから上に上がって来ない感じが物凄く歯痒い。「良い演者とやらないと自分の評価が下がる」純ちゃんの言う通りで、だからこそ、次回4月のイベントの出演者を事実上、選ばせてもらった。

自分の存在を知ってもらうことを目的としたイベントへの出演は避けて通れないし必要なことだと思う。でも、どうにかこうにか、ツーマンやワンマンを基本軸にしていきたい。ツーマンやワンマンをやるかたわらイベントに出る…という形に持っていきたい。そこで、純ちゃんに相談相手になってもらった。

彼が主宰している劇団は基本的にワンマンやツーマンでの公演で、一度の公演につき3日くらいやるらしい。劇場を借りるには週末で1日につき6万〜7万、3日で20万くらい必要で、さらに業者に依頼してプロ仕様のフライヤーを製作するので、合算すると相当な金額になるのだが、これを主宰者である彼が全額支払う。

チケットの価格設定も主宰者の仕事なのだが、集客というものは価格を上げると減り、下げると増える…という単純なものではない。多くの人に観に来てもらいたいので出来る限り下げたいところだが、下げ過ぎると「その程度の劇団なんだろう」と見くびられて逆効果になる。かと言って、「一度観てみようかな」みたいな人たちに観に来てもらおうと思えばやはり下げざるを得ない。劇場は我々音楽人が出ている店のようにフードやドリンクが出るわけではないから、チケットの売り上げが全て。だから、劇場が劇団の集客力を見る目はおのずと厳しくなる。とは言え、「赤」を出さないことや目先の利益に捕らわれて知り合いに頼っているといずれ必ず継続していけなくなるから、今現在の赤は投資だと捉えて、間口を広げて、一人でも多く新しいお客さんを獲得していかねばならない。また、そうして着実に結果を出していかないと、今度は劇団員からの信用を失うことになる…という修羅の道。

脚本を書き、劇場を押さえ、メンバーを選び、演者として稽古を重ね、チケットの価格設定やフライヤーの製作をし…年に3、4回が限度だ。でも、1回1回の舞台に注いでいる熱意は絶対、お客さんに届いていると思う。それにひきかえ、我々音楽人はどうだろう。軽い練習の他に何の準備もせず、下手すりゃステージを練習場所にして、年にではなく、月に3回も4回も同じようなライブをして、やれどもやれどもお客さんが来ない…と嘆くのならまだしも、楽しけりゃ良いんだと言いながら心ひそかに他の演者が呼ぶお客さんをアテにしている。音楽人は口を開けば「楽しい」「楽しかった」。他の言葉を知らない。でも、純ちゃんは舞台が迫るたびにこう漏らしている。「俺、いつまでこんなしんどいことやってんねやろ。毎回、「これが最後。やめよ」と思うけど、気付いたらまたやってる」意識の持ち様に天と地ほどの開きがある。

大所帯になればなるほどフットワークは重くなる。だから、劇団よりバンド、バンドよりソロで活動している人の方がフットワークは軽い。そのフットワークの軽さは利用すれば良いと思う。それはそれで武器なんだから。でも、そこに甘え過ぎておかしな事になっているように思う。ライブの前に、ライブの為に、やるべきことがもっとあるはずで、それを思い付く限りやったとしても、劇団の人たちよりフットワークは軽いままだろう。

「それにしてもお前のフットワークは重過ぎるんじゃないのか?怠け者が」同業者たちの声が聞こえてきそうだ。でも、俺は徹底的にソングライターでありたいから、曲を作る為の時間を最優先する。「売り」にも色々ある。「年がら年中ライブをやってる」というのもそうだろう。でも、それはあくまで、色々とある売りの中の一つでしかない。そもそも、ライブ活動だけが音楽活動ではないはずだ。ソングライティングだって音楽活動だ。俺は、良い曲を作れる人間で、良い曲を山ほど持っているというのを売りにしていきたいし、この一点を生命線に、アピールして、信用を得ていきたい。例えば、昨年の全曲新曲ライブなんてまさにそう。あれは「信じて欲しい」という気持ちの表れだった。

信用されるアーティストでいたい。そう強く思えば思うほどフットワークが重くなり、たまにこんな文章を書いたりなんかして、同業者から嫌われることになるのだが、そんなもの痛くも痒くもない。

同業者に好かれてるようじゃ駄目だ。嘘をついてでも好感度を上げて何処かに寄生しようという小ぢんまりとした輩ばっかりなんだから。


ロックンロール・ウェザー誌 最新号より

⬆︎本田純正氏の運転する自転車の後部座席に乗って颯爽と取材現場に現れた和田怜士。


何か異質なものをと考えていた

Q 怜士さん、この度は弊誌スタッフ限定の新曲試聴会を催して頂きありがとうございます。

A いやいや、君んとこにはいつもお世話になってるからね。僅かに3曲とはいえ誰かに聴いて欲しかったし。で、どうだった?

Q  三者三様。それぞれに個性があり、また、それぞれにこれまでの怜士さんにはなかった要素があって驚きました。

A そうか、良かった。

Q では、新曲についていくつか質問させて頂きますので、お答え願えますか?

A  もちろんだ。

Q まずは『俺はロックスタア』から。怜士さんにしては珍しくアッパーでストレートなパンクナンバーです。

A グリーン・デイの1st(『ドゥーキー』)に収録されててもおかしくない感じだろ?リフものって俺、あんまり作らないから珍しいといえば珍しいかな。

Q この曲の原型はバンド時代にはすでにあったんですよね?

A そう。その時のタイトルは「僕はフィクション」。でも、ライブではほとんどやらなかった。アンコールでたまにやったくらいで。シンプル過ぎてかサラッと流れてしまう感じがあって、曲として惜しいなとずっと思ってた。

Q で、今回手直しされたと。

A そう、新たにメロディーと歌詞を付け加えた。それから、一番変わったのは何と言っても…

Q 中盤で突然飛び出すスカビートですね!これには驚きました。

A 佐野(元春)さんの曲に『インディビジュアリスト』ってのがあって、これが強烈なスカで、ライブで観て「俺もこれやりたい!」って(笑)

Q で、思い切って導入してみたわけですね?

A そう。曲がサラッと流れてしまわないように中盤に何か異質なものをと考えていたんだけど、そこにスカがはまったんだ。そもそも、俺の中にスカはない。全く聴いてこなかった。だから異質も異質。でも、不思議と違和感は感じないだろ?調子に乗って、ライブではこの部分を長めにやってやろうと思ってる。曲の尺を無視して(笑)

これまでもこれからもあいつらに期待するものは何もない

Q 次の曲は『WHY?』ですが、これってなんだかもうヤバくないですか?

A ヤバいとは?

Q 怜士さんのバラードの中でも屈指の名曲だと思うんですよ。

A ありがとう。俺もそう思ってるよ。メロディーがもう完全に洋楽で…そう、UKだね。おそらく、俺の曲の中でも最もスローなものに仕上がると思う。可能な限りスピードを落としてじっくり歌い上げる。そんなタイプの曲だね。真面目な女性ヴォーカリスト。そうだな。例えばそれこそみこみかんさんみたいな人に感情を込めて歌ってもらえたら素晴らしいんじゃないかな。

Q 歌詞に登場する「堕ちてゆく最愛の人」は音楽の事を指しているとのことですが、音楽は今後も堕ちてゆくとお考えですか?

A 俺も音楽やってる人間だからね、そこんところをなんとかしたいと常日頃思ってるよ。微力ながら音楽を救い上げる手助けをしたいってね。でも、悔しいけど、現実的には厳しいね。だって、この曲をどんな世界に送り出すのかというと、「世界で一つだけの花」みたいなのを名曲だなんて言ってる人たちが暮らす世界に送り出すわけだよね。でも、あいつらにこれを理解できるわけがないし、これまでもこれからもあいつらに期待するものは何もない。君が言うようにこの曲が名曲だとしても、だからどうしたというね。絶望的だよ。この曲全体に漂っている悲愴感は、つまり、そういうことなんだ。

滅茶苦茶な奴がいたって良いじゃないか

Q では最新曲となる3曲目『悪魔と呼んで』ですが、こちらは一転して突き抜けるようなカントリー調の曲に仕上がっています。カントリーは以前からお好きだったんですか?

A 大嫌い。

Q え?

A だってアメリカ発祥の音楽だよ?ロクなもんじゃない。

Q (笑)

A カントリー調ってのはあくまで結果論であって、最初から「カントリーを作るぞ!」なんて思ってたわけじゃない。そんなもの、作りたかないよ。ただ、この曲はメロディーと歌詞の大半が同時に出来てね、出来たものに捻りを加えずにストレートにいこうと決めたらカントリー調になったというだけの話なんだ。

Q 確かにいつになくストレートですね。緩急がなくて転調することもない。メロディーも至ってシンプルで、高いテンションを保ったまま駆け抜ける感じです。

A そう。緩急がない。俺にとっては初の試みで新鮮に感じた。いつもやってることをやらないっていう、ただそれだけのことで曲って化けるもんなんだなと、また一つ勉強したよ。

Q 歌詞についてはいかがですか?

A 思いのほか苦労した。でも、結果的には面白いものになった。これは頭のぶっ飛んだ芸術家の話なんだ。ロマンチストが過ぎて赤い口紅さえあれば死んだ「君」を生き返らせることができると思っていたり、楽天家が過ぎて人生には山だけがあって谷はないと考えていたり、希望的観測が過ぎて人生や幸せには始まりだけがあって終わりがないと信じていたり…滅茶苦茶なんだ。で、俺は彼のそんな滅茶苦茶感を吹けないハーモニカで乱暴に表現してみせるつもりで、たまにはそんな滅茶苦茶な奴がいたって良いじゃないかと思っていて、もしそんな奴がいるとすればそれは芸術家以外にないな…という、そんな曲なんだよ。

Q つまり、「山だけがあって谷はない」というフレーズが緩急のないアレンジとリンクしていて、主人公である芸術家の頭の中のカオスとクレイジーなハーモニカがリンクしていて…渾然一体となっているわけですね?

A そう!その通り!いいね、そういうことにしておこう(笑)

Q 次回公演では3曲とも披露されるんですか?

A もちろんそのつもりだよ。あくまで予定だけどね。4月になりそうだ。本当はその前にもう一本やりたかったんだけどしょうがない。需要を感じないし、昔のようにはライブというものを信用してないし、自分を安売りするのはゴメンだ。いつも言うようだけど、ただ楽しいってだけじゃやる意味ないんだよ。でも、4月は全力でやる。できれば、セットリストの半分は新曲でいきたい。だから、あと1、2曲は作らないとな。

Q どんな曲になりそうですか?

A さあね。自分でもわからない。何が出てくるんだろうね。ガチャガチャみたいなものだからね(笑)


新曲『悪魔と呼んで』完成

54曲目のオリジナル『悪魔と呼んで』が完成した。ここまでガッツリ、カントリーな曲を書いたのは初めてのこと。「山だけあって谷などないよ」のフレーズそのままに、緩急をつけず、高いテンションを保って最後までダァーッといく。

俺の勢いだけのハーモニカが火を吹くぜ!(ギターも勢いだけじゃねえか)

シスターマロンが「良いね!」と言ったんだから間違いない!


途中経過

新曲が7割ほど仕上がってきた。タイトルは『悪魔と呼んで』になりそうだ。

芸術家って、血も涙もない悪魔みたいなところがある…ってなことを考えていたら、「死ぬまでずっと悪魔と呼んで」という、個人的にキュンとくるフレーズが浮かんできた。

やっぱり、『お茶でもいかが?』にはならなかったな(笑)


赤い覚醒器

昨日、海賊ライチのDr.Fからサプライズな贈り物が届いた。「遅くなったけど」と誕生日プレゼント。赤いイヤホン。

今までずっとコンビニで買った黒いイヤホンを使っていた。ネットで調べて、「安価ながら良い音」とあったので買って、それなりに良い音だと思って使っていたのだが、今朝、通勤の時に、貰ったイヤホンに交換して聴いてみたらぶっ飛んだ。全然違う。音の奥行き、低音の響き、アコースティックギターの鳴り…全然違う。Drには以前にも、コンポを買い替える時に相談に乗ってもらったことがあって、「ウッドコーン」というスピーカーがオススメだと言うので買ってみたらこれが物凄く良い音で驚いたのだが、今回のイヤホンもあの時と同じくらい驚いた。本当に良い音なのだ。

俺は音に疎い。もちろん、好きな音/嫌いな音はあるのだが、機械的なこと、機材的なこととなるともうさっぱりわからない。だから、身近に音のスペシャリストがいるというのは本当に心強いし、感謝している。

皆さんご存知の通り、Dr.Fはライチでサウンド・エンジニアを担当してくれている。その彼が最近言い放った言葉で面白かったのが「仕事をくれ」(笑)「仕事をくれ」というのはつまり「動いてくれ」ということ。面白いと思ったし、申し訳ないとも思ったし、それより何より嬉しかった。

最近、何だか煮え切らない。曲作りについて探究心や闘争心が途絶えるなんてことは絶対にないんだけど、ライブとなると「暖簾に腕押し」とか「糠に釘」とか「猫に小判」とかいう言葉しか浮かばなくて往生している。でも、ぼちぼち目を覚まさねば。

数こそまだまだ少ないが、俺の音楽を熱く支持してくれているハイセンスな人たちの為に。そして、仕事を欲してくれている人の為に(笑)