秋の遠征

来月は珍しいことに、2本のイベント出演依頼をもらった。1本は神戸で、もう1本は枚方。神戸はどうにもこうにも予定が合わなかったので、延期させてもらわざるを得なかったのだが、枚方の方は予定が組めたので、出させてもらうことにした。

枚方。伊丹に住んでると、大概、どこでやっても「遠征」になるんだけど、今回ばかりは本当に、ちょっとした遠征だと思う。

おそらく、ピアノを中心としたソフトな音楽がメインのイベントになると思うので、今回ばかりは私もソフトに、オシャレな感じでいこうと思ったのだが、私にソフトでオシャレな曲なんてあるわけがないし、また、私を誘ってくれた愛西垣戸さんも、私の音楽について『「嘘はいらんねん!」っていう感じが良い』と言ってくれた人だけあって、私にソフトでオシャレな音楽を期待しているわけがないので、いつも通り、いや、あえていつも以上に、ロックな感じでいきたいと思っております。

浮き倒して喜んでいる私を是非、観に来て下さい。そして、京橋で一杯ひっかけて帰って下さい。

10月22日(日) 枚方117-55

<open/start>14:00/15:00

<charge>¥1000+1drink

<act>*和田怜士 *やましん *Botter  *スワンと愉快な仲間達 *ちきらまさひろ *風来坊のまさ

〒573-1144 枚方市牧野本町1丁目12-10 (072-857-3717)


視点

「自分は人のライヴを観る時、どこを見てるんだろう」ということを考えてみたところ、面白い答えが出た。

真面目かどうかを見てる。

ここで言う「真面目」は「切実」という言葉に置き換えることもできて、切実だからこそ、緊迫感が生まれる。

真面目に音楽に向き合っている表情や姿勢さえあれば、たとえどんなに下手クソでも、私は「ゴミ」だなんて言わない。私が「ゴミ」と呼ぶのは、真面目でない、切実でない人間がやっている緊迫感のない音楽のことだ。

ステージ上から責任感のようなものを感じさせてくれるのであれば、多少下手クソでも、金を払って観る価値はあると思う。


私は音楽をやる人だから音楽をやる

ライヴハウスやライヴバーに足を運ぶ。

10組観たとして、6組はゴミで、3組はまあまあで、1組が当たり。緊迫感があって、素晴らしいメロディーを聴かせてくれるアーティストとなると、100組中1組いたら万歳…というレベルだと思う。大抵、音のデカさや、軽薄なリズムや、トークの巧さや、見た目なりコンセプトなりの奇抜さや、人付き合いの良さや、「何だかよくわからない」というところで、真正面からの音楽的評価から逃げている。

たまに劇場や美術館へ足を運ぶと、音楽やってる人たちの意識レベルの低さと、内輪だけで盛り上がっている「痛さ」が、身に染みてわかる。

演劇やってる人は演劇で勝負してる。

絵を描いている人は絵で勝負してる。

写真家は写真で勝負してるし、落語家は落語で勝負してる。

音楽やってる人間だけだ、音楽以外のことで勝負してるのは。


なるほど・ザ・絵画

今日は今日で兵庫県立美術館で「怖い絵展」を観てきた。

<レディ・ジェーン・グレイの処刑>(写真下はその一部をパネル化したものと私)と、<踊り手の褒美>と、ムンクが描いた<マドンナ>が特に良かった。中でも、やはり、レディ・ジェーンがヤバかった。

運命に翻弄されて、何がなんだかよくわからないまま反逆の罪を着せられて処刑されることになった16才の女の子の姿には取り乱す余裕が感じられず、死ぬことの怖さではなく「?」だけがあって、それが、何とも言えず儚くて綺麗だった(今回、目玉となったこの絵に添えられたワンフレーズ「どうして。」は秀逸だと思う)。

帰宅後、ストーンズの「レディ・ジェーン」を聴いたのは言うまでもない。


なるほど・ザ・演劇

恵美須町で、『三等フランソワーズ』という劇団の舞台を観てきた。「劇団」とはいえ、昨夜の公演の構成員は2人。持ち時間は我々音楽をやってる者と同じ30分。ステージの上にはテーブルと2脚の椅子があるのみ。

結論から言うと、めちゃくちゃ感動した。30分の間、緊迫感が途切れることがなかった。今、私が自分のライヴで表現しようと思っている形にリンクするものがあり、もの凄く良い刺激になった。

終演後、劇場の近くの酒屋で買った缶ビールを飲む私の口からは、ただひたすらに「なるほど」という言葉が漏れた(私には、良いものを観たり聴いたりすると「なるほど」と呟く癖がある)。

緊迫感…ライヴハウスでは滅多にお目にかかれないものが、劇場の舞台の上にあった。


21年目の開花

19の時、私は神戸のとあるバンドに加入して、2曲、英語詞の曲を書いた。

2曲のうち1曲は良い出来だったのだが、当時はまだ曲の作り方をよくわかっていなかったので、シンプル過ぎて、どこか物足りなくて、気に入らなくなって、日本語詞で曲を書くようになるとすぐにボツにした。

7年後。26の時。ふと件の曲を思い出して、色々とアレンジを施して復活させた。が、今度は手を加え過ぎたことによって曲が散漫になり、パンチがなくなって、駄目になった。ライヴで何度か演ったが、すぐに飽きてボツにした。

それから14年後。曲の原型が生まれた時から数えると21年後となる先日。スタジオで突然、件の曲を思い出した。そして、頭で考えたわけではなく、一瞬の閃きに従って、以下のことをした。まず、無駄を完全に削って一度原型に戻した。それから、一部新しいメロディーを付け加えて、冒頭のギターリフを曲の終わりに持ってきた…そしたら、ただそれだけのことで、ものの見事に化けた。21年の歳月を経て、ようやくあるべき姿になったのである。それもほんの一瞬で。

一瞬の閃きの為に21年かかった。でも、ずっとボツにし切れなかっただけのことはある。恐ろしく良い曲だ。あとは言葉を乗せるのみ。

その娘は、子供の頃からなかなかの別嬪さんだったが、あまりにオシャレ気がなかったので、誰も別嬪さんであることに気が付かなかったし、自分でも自分が別嬪さんであるということを自覚していなかった。7年後、それなりに着飾ることに目覚め、化粧することを覚えたが、下手クソで、残念な仕上がりになってしまった。14年後、大人になった彼女は、自分に何が似合い何が似合わないのかをよくわかっていた。そして、めっきり自信をつけ、誰の目にも明らかな美人になっていた…というところかな。


冷たい香水の正体

昨日、ロックスターがジャック・ダニエルを愛飲するように、海賊はラム酒を愛飲するものだということを知って、初めて、ラム酒を飲んでみた。

甘い、なんとも言えない良い匂いがする。味も素晴らしい。匂いがそのまま味だ。なるほど、海賊はこれを愛したのか。ジャック・スパロウはこれをラッパ飲みしてたのか。これはヤバい。ヤバいぞ!と、テンションがピークに達すると同時に、強烈な眠気の波に飲まれて撃沈してしまった。

一夜明けて、ふと気付いたことがある。私の新曲の歌詞に出てくるワードについてである。

宝石、香水、蝋燭、五線譜、サイコロ、悪夢…海賊をイメージさせるワードが並んでいる。無意識とはいえ、歌詞を書いている私の中に、おぼろげながら、海賊の姿があったらしい。

「冷たい香水」って、ひょっとしたらラム酒のことなのかもしれないな。いや、きっとそうだ。そういうことにしよう!と、思った。


僕はPUNK

経験を積んで、理論や理屈を知って腕を上げていく中で、確実に忘れていってしまうものがあり、一度上げてしまった腕はもう二度と下ろすことができない。

例えば、パンク。近頃のパンクは知恵を付け過ぎて、腕を上げ過ぎて、金をかけ過ぎて、メタルと見分け、聴き分けがつかなくなってしまった。パンクは、パンクをやってる人間が、パンクとは何かということをわかっていない時が一番パンクだった。

私は、ザ・クラッシュのアルバムだと、『白い暴動』が一番好きだし、オアシスのアルバムだと、完全に勢いだけで作り上げてしまった、「歴史的失敗作」として名高い『ビィ・ヒア・ナウ』が一番好きだし、ジョン・レノンという人については、丸眼鏡をかける前の、「LOVE & PEACE」とか言い出す前の、ザ・ビートルズのメンバーでいることを心から楽しんでいる頃のヤンチャなジョン・レノンが好きだ。

器用になったら終わりだ。死ぬまで下手クソでいたい。パンクが一番パンクらしかった頃のパンクスが持っていたような、チープながら純度の高い反骨精神を引きずりながら、歳を重ねていきたい。

「継続は力なり」ってなことを言うけれども、私は、いつまで経っても力にならない継続のあり方みたいなものを日々、模索しております。


常時募集中

私はもう、よほどの出会いがない限り、バンドをやるつもりはございませんが、サポートメンバーは常時募集中でございます。

パート不問。ドラムやベースに限らず、鍵盤やギターやヴォーカルも募集しております。メンバーを固定するつもりもないので、その都度、それぞれの都合に合わせて、その都度の編成でやればいい。

はっきり言って、別に経験者じゃなくてもいい…っていうか、40歳とか50歳とか、年齢なんてどーでもいいから、今から音楽始めてみてはいかがでしょうか?音楽やるのに早いも遅いもない。少しでも自分のセンスに期待が持てるのなら、「思い立ったが吉日」でしょう。

「やれる」と思えばやれる。「やれない」と思えばやれない。ただそれだけのこと。

私としても、そりゃ、経験豊富で腕の立つ人と一緒にやるのは勉強になるし、助かるけど、経験の無さをヤル気でカバーしながら腕を上げていく、色の付いていない真っ白な人と音を出してみたいという気持ち、「なきにしもあらず」どころか、バリバリにありますよ。

真っ白な人の真っ白な感性を借りて、経験豊富な人たちが立ちはだかるライヴハウスに殴り込みをかけてみたい。

私は、あなたが名乗り出てくれるのを待っておりますよ。

私が重視するのは、ヤル気と、普段どんな音楽を聴いているのかということの2点だけです。

是非。