私は、本当は全然浮かれていないのである。微塵も調子にノっていないのである。浮かれたくても浮かれられず、調子にノりたくてもノれない―元来、私はそんな人間なのである。
でも、私はなんとなくわかっている。浮かれるべき時に浮かれられず、調子にノるべき時にノれないから、流れが持続せず、ジリジリと落ちていくんだということを。
私には、自分の中に浮力を感じると、その逆方向に重りになるものをぶら下げようとする悪い癖がある。で、その重りがいつもちょっと余計に重くて、結果、落下してしまうのである。
しかし、今回ばかりは、流れを手放すわけにはいかないのである。落ちていくわけにはいかないのである。何とかせねばならん。「何とかせねばならん」ったって、ただ素直に浮かれて、自然に調子にノれば良いだけの話なのであるが、臆病な私にとって、これほど難しい話もないのである。
ひょっとしたら、私が「踊る」ということができないのは、私のこういった気質に起因するのかもしれない。
踊らねば。浮かれてノって、踊らねば。