嗚呼ナイチンゲール

男前にはアホが多い。もちろん醜男にもアホは多々いるが、アホの質が抜本的に違う。

醜男のアホは、結構手の込んだアホである。複雑に入り組んでいて、湿気があり、臭気があり、かなりグロテスクなものである。これに対して、男前のアホというのは、ツルッツルである。ゆで卵のあの感じに似ている。

醜男のアホの中には、醜くく年老いた男がいて、こいつがアナーキーなことをするのだが、男前のアホの中には、いつまで経っても成長しない迷惑な赤ちゃんがいて、こいつが滅茶苦茶なことをする。
年老いた男は、年老いているだけあって、他人に非難されるという感覚を一応は知っていて、その上で非難されるようなことをして逆ギレで応酬するのだが、赤ちゃんは非難されるという感覚を知らず、「ババババ」とか「ブブブブ」とか言っておれば全て許されると思っていて、実際、結構許される。

いずれにせよタチが悪いが、非難の的になることを前提としている醜男のアホの方が、男前のアホよりも若干ではあるが、同情の余地があるような気がする。男前のアホは悪気がないだけに非難しづらく、また、非難してもされていることに気付かないだけに悪質だと思う。

本文の結び―老いたのを若返らせるも、赤いのを成長させるも、全ては、世の女性たちの賢明なる慈悲心にかかっている。


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