壊れた詩のような

私のような者にも、一瞬でわかることって、ある。

でも、「一瞬でわかるはずがない」と言って決めつけて、いちいち手続き的なものを踏ませるのが世の中。クソ面倒くさい。

運よく、珍しく、理屈抜きで、一瞬でわかったものを、いちいち理屈立てて説明しないといけなくて、無理矢理理屈立てている内に、元々めちゃくちゃ簡潔でピュアだったものが、あれよあれよと複雑になっちゃって、濁っちゃって、萎びたバナナみたいになっちゃって、届くものも届かなくなっちゃって、「あなたは何だかよくわからない」と言った神様が、何も掴めなかったUFOキャッチャーの腕のような感じで音もなく遠ざかっていく。

ギシギシガタガタ音を立てて、必死こいて生きている人間のもとを、足音ひとつ立てず、「…」と言って、無表情で去っていく神様の後ろ姿に中指を立てるのが精一杯。


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