日常の笑い

職場の社員食堂。一番に行ったらスープを掬うお玉がなかった。職場の厨房/レストランではお玉のことを「レードル」と呼ぶので、厨房に行って、新人と思われる若い男の子に「すいません。社食にレードルがないんですけど」と言ったら「レードルって何ですか?」と返された。仕方がないので「スープを掬うやつです」と言うと、男の子は「分かりました」と言って、カレーうどんを頼んだ時なんかに付いてくる木でできた小さなレンゲを持ってきた。「いや、そうじゃなくて…」口ごもっていると今度は先輩の女性スタッフがやって来て「どうされました?」と訊いてきたので「社食にレードルがないんです」と訴えた。すると女の人は男の子に指導。「あのね、社食にレードルがないって言われたらこれを渡すのよ」と言って、俺に先程のレンゲが金属になっただけのような調理用の小さなレードルを差し出した。「いや、レードルはレードルやけどそれはたぶん沈む…」またも口ごもっていると、一連のやりとりを聞いていた年配のおばちゃんが「お玉ちゃうか?」と言い、女の人が「お玉のことですか?」と訊いてきたので、「はい。お玉です」と答えた。

腑に落ちない。

お玉という呼び名しか知らなかった俺にレードルという言葉を教えたのはお前らだろう。だいたい、お前らは厨房のことを「デシャップ」などと呼ぶくせにお玉はお玉で良いのか?

問題は、今度また同じことがあった場合である。

レードルがない。でも、「レードルがないんですけど」だとまた面倒なことになる。じゃ、「お玉がないんですけど」か?もし、「お玉がないんですけど」と言って、「あ、レードルのことですね?」などと返されたら無駄に恥ずかしい思いをすることになる。「いや、以前、レードルがないんですけどって言ったら話が通じなくて結論はお玉で…」などと説明するわけにもいかない。

だから頼む。頼むからレードルだけはお玉だけは準備し忘れないでくれ。


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