歌詞『不死身のエレキマン』/甲本ヒロト

電気のトラブルで
生まれ変わったぜ 俺は
昼と夜をかきまぜて
朝まで踊れる男

何の時代だか
どんな時代だか
ガンコなロックで
朝まで踊れる男

自分が自分の世界の主人公になりたかった
子供の頃から憧れてたものに
なれなかったんなら 大人のフリすんな
第一希望しか見えないぜ 不死身のエレキマン

大人になったら
セミは飛ぶんだぜ
子供のままでいるんなら
死ぬまで暗い土の中

自分が自分の世界の主人公になりたかった
子供の頃から憧れてたものに
なれなかったんなら 大人のフリすんな
第一希望しか見えないぜ 不死身のエレキマン


革命ポンチ

先のことをシミュレーションする時、人間の想像力というのは、防衛本能として、ネガティブな方向に流れるようにできている―という話を聞いたことがある。

私は今回のバンドの形について、私の中では一種革命的とさえ言えるような、一大決心をしようと思っている。

この札を切るというのは、私にとっては一種の賭けだ。吉と出るか凶と出るか…って、ほらね、もうネガティブな空気が漂ってる。

シミュレーションを止めて、インスピレーションに全てを賭ける。
「今だ」と思ったから、今、そうする。ここに計算的なものは微塵もない。

「案ずるより産むが易し」古人もたまにはいいこと言う。

革命ポンチ。


血は血のままで

納得のいく自分自身でいるために、そして、納得のいく自分自身が納得のいく言葉を喋る為に、アルコールは必要不可欠だ―という状況が18の時から続いているが、この状況って、一体いつまで続くんだろう。

シラフの時、私は、固くて重い殻を被っているような感覚でいる(だから私は、ライチを意味する「茘枝」を名乗っている)。

考えてみれば、私はこの16年間、シラフで歌ったことがないし、シラフで曲を書いたことがないし、シラフで恋愛をしたことがないし、シラフで語ったことがない。

「私の血はワインでできている。」と川島なお美は言ったが、私がいくらビールを飲んだところで、私の血は血のままで、いつまで経ってもビールにはならんのだから厄介だ。


ラブソングの作り方

「生きてて良かったあ!」なんてゴミのような台詞を繰り返し言いたくなるような、知能指数が著しく低下してるけどもそれを快感と思えるような、そんな、恋愛がしたい。

そうして

「生きてて良かったあ!」なんてことは口が裂けても歌わないけども、知能指数が著しく低下しておることは誰の耳にも明らかな、そんな、ラブソングを書きたい。

「一人」を想いながら、それ以外のことは何も想わず、曲を書くというのは、あれは、本当に、作曲者冥利に尽きるし、知能指数が著しく低下しておるにも関わらず、どういうわけだか、めちゃくちゃ良い曲を書けてしまうから不思議だ。

要するに、猛烈な恋をしておる時の人間というのは、魂が頭を押さえつけとるような状態なんでしょうな。これって、アーティストにとっては、最高の状態でしょう。

魂が頭を押さえつけている状態…私にもあったよ、そんな時が。よ〜く覚えてる。


リアムバリ

仕事中、手は仕事をしてるけども、頭は常に『蝶』のことを考えている。

「考える」ということの一切を止めてしまいたいけど、どうしても考えてしまう。楽しいからね、やっぱり。

(凄いバンドが)「出たあ〜!」って言わせたい。

決して焦らない。焦らないけども、でも、正直言うと、一刻も早くステージに帰って、客を睨み付けたい。

リアムばりに!


コメントへの返信〜さかえ様宛

サナギが蝶に化ける課程で、万が一、ものすごいコケ方をしたとしても、それはたぶん、陽なコケ方で、決して陰に込もったコケ方にはならないと思うので、コケた時はコケた時で楽しんでやってください。最終的に化けられりゃそれでいいんだから。

しかしまあ、「蝶」ってのはいいねぇ。化け方がミラクルで、化けた後はミステリアスなんやからねぇ。「カブト虫」なんかよりも全然イケてるよねぇ。そういえば、私が二つ目の老人施設で働いてる時、めちゃくちゃ親しくなったお婆さんの名前が「蝶子」やったよ。因縁だねぇ。


マーゴン

家のあちらこちらが、ガタガタと音をたてている。
家全体が、微妙に揺れている。

雷はいくつになっても嫌いだし、正直、死ぬほど怖いけど、台風は、いくつになっても嫌いではない。っていうか、どちらかと言うと好きだ。

子供の頃から好きだった。台風の夜は、何故かいつも、胸躍った。ドキドキした。

台風の夜は賑やかだ。

寂しさと無縁だ。

家の中にいても、台風は何かしら、吹き飛ばしてくれる。