曲は俺と同じような立場で音楽やってる人たちに対する憤りの塊で、彼らのことを吐き気がするほど嫌いな2つの曲、岡本真夜の「TOMORROW」と槇原敬之の「世界に一つだけの花」に登場する花になぞらえて歌っている。「ナンバーワンこそオンリーワン」のくだりは、俺と同じように「世界に一つだけの花」の歌詞に違和感を覚えるというイチローの発言から引用した。
音には初の試みとして全体的にエフェクトを効かせてある。使用したのはフランジャーというエフェクターで、寄せては返すジェット音みたいな効果がある。しつこくならないように注意して、薄くしかかけていないが、ギターを歪ませると同時に適度に効果が強まるという予期せぬ現象がこの映像のサイケデリック感に繋がった。
特筆すべきはなんと言っても映像全体を覆うサイケデリックな模様。これを見て「おお!遂に怜士もデジタルを駆使するようになったか!」と思われた方もあるかもしれないがさにあらず。んなわけがない。デジタルは俺にも使いこなせる範囲で道具として扱っただけで、根幹を成すのはやはりアナログ人間の工夫である。では、このサイケデリックな模様の正体は一体何なのか。明かすとしよう。コレである。

そう、俺が描いたイラスト『仮面』。これを8%の薄さにまで透かしたものを5枚用意して、不規則な向きで重ね合わせたものを映像に貼り付けたのである。我ながら秀逸なアイデア。「もっと良くなるはずだ」という希望的観測を実際に良くなるまで諦めなかったことの成果と言える。
もう一つ、特筆すべき点は俺の表情。完全に無意識なのだが、「くたばれ世界で一つだけの花」(韻を踏みたい気持ちが昂じて「世界に」ではなく「世界で」となっている)のところでニヤッと薄ら笑いを浮かべている。
だから言ったろ?「悪魔と呼んで」って。

ネット上でサポートメンバーの募集を開始してから2ヶ月近くが経過した。

以前にも書いたように、故郷は故郷、一生戻ってこないというわけではなく、いずれまた戻って来たいと考えてはいるが、ひとまず10月と12月のライブで伊丹での活動に幕を下ろすことにする。2018年以降、伊丹を軸に活動してきたが、思うような評価を得られず、全くと言って良いほど状況が変わらなかった。今後に期待できるものもない。見切りを付けねば。
どいつもこいつも薬は薬で毒は毒だと思っている。薬が毒になることもあるし、毒が薬になることもあるということを知らない。で、音楽は薬だと思っている。毒になることのない薬だと思い込んでいる。言っておくが、毒にならない薬などないし、薬まみれのライブイベントが毒の塊だってことくらい、一度でもライブバーやなんかに足を運んだことのある人なら分かるだろう。
甲本ヒロト。音楽はさほど好きじゃない。一音に一語という言葉の乗せ方が生理的に苦手だからである。例外として、ハイロウズ時代の『バームクーヘン』というアルバムは大好きで、死ぬほど聴いたし名盤だと思っているが、他のアルバムには興味がない。が、しかし。しかしである。
今月8日のライブ。残念ながら出演を見合わせることにした。