新曲『ORANGE』完成

新曲完成。「呼吸」「赤い雨」と、ヘビーな曲が続いたので、底抜けに明るい、馬鹿丸出しのラブソングに仕上げてみた。

見ての通り、歌詞に意味はない。っていうか、意味を持たせたくなかった。「オレンジ」というタイトルも、思春期のあのおもちゃ箱をひっくり返したような悶々。恋に恋していた時の爆発的な馬鹿感を一言で表したかっただけ。メロディーについては我が奥さんが「ビートルズ!」と太鼓判。つまり、60′ sブリティッシュビート。ギターポップ。俺が最も得意とするやつ。完璧だと思う。

さぁ、次の曲に取り掛かろう!


掘り出し物

洋服。誰にでも好きなブランドの一つや二つはあるのではないだろうか。御察しの通り、俺はブランドとかってさっぱりわからない。わからないんだけど、唯一ヒステリック・グラマーだけは昔から好きで、高価過ぎて買えないし買ったところでもったいなくて着ないだろうから買わないけど、街でヒステリック・グラマーの服を着ている人を見掛けるとついつい見入ってしまう。

スタジオの近くに古着屋があり、スタジオに入る時には毎回欠かさず立ち寄っているのだが、先日、これを見つけた。

遠目にも異彩を放っており、デザインが気に入ったので手に取って見てみると何とヒステリック・グラマー。さすがはヒスグラ。カッコいいはずだ。出た!が、どうせ高いに決まっている。値札を見る気がしない。しかしながら、値札を見ずに諦めることも、値札を見ずにレジに持っていくこともできない。恐る恐る値札を見たらまさかの1300円!

隅々まで状態を確認した。何の問題もない。色痩せもボタン欠けも破れも擦れも汚れもない。サイズもピッタリ。何かの間違いではないか?まあ良い。「値札を間違っておりました」なり、「値付けを間違っておりました」なり、間違いなら間違いで潔く諦めてしまえば宜しい。とりあえずレジへGO!というわけで何の間違いもなく無事に買えたのだが、1300円であったにも関わらずもったいなくて着れない可能性大。


甘い収穫

スタジオに入るたびに1曲作るって無茶な事かな…とちょっと思ってたけど今日も1曲できた。

速いロックンロールを作っていて、どうもしっくりこないなと思って、ギターの弾き方を変えてギターポップに寄せたら一瞬で化けた。「果物をてんこ盛った巨大なケーキ」が進化したような、思春期の恋みたいな感じで、間違いなくライヴで盛り上がる。

まったくもって、笑いが止まらんよ。

 


音レポの匠たち

テレビを見ていたらある芸人がラーメンの食レポに挑戦しており、一口食べて「熱っ!」と言って、皆から「熱さはええから味を教えてくれ!」とツッコミを入れられていたのだが、俺も自分の音楽について、熱さだけではなく味を教えて欲しいと常日頃思っている。俺の音楽はみんなにどう聞こえてるんだろう。

俺の音楽について、感想を述べてくれる人はほとんどいない。でも、過去にごく僅かながら述べてくれた人たちがいて、それはどれもすごく参考になり、嬉しい言葉だったのでここに紹介する。

日本語に英語のニュアンスを感じる−中原真司(カミナリボルト)

確か、俺のライヴを初めて観た後、話しかけてきてくれた時に言ってくれた言葉だったと思う。「日本語の発音を崩さずに英語っぽく響かせる」というのは、歌詞を書く時に何より意識している事なので、「気付いてくれる人が現れた!」と思って感動した。中原さんはこの次のライヴにも、豪雨の中、顔を出してくれた。大勢の出演者がいる中、俺を観に来てくれたのは中原さんだけだった。

なぜ誰も君が強烈なメロディーメーカーだということに気が付かないんだろう–バニーマツモロ

「檸檬」の動画をアップした時にバニーさんからもらった言葉の贈り物。「音楽=メロディー」くらいに思っている。何よりもメロディーを大切にしている。なのに誰もメロディーについて評価してくれない。腹わたが煮え繰り返るほど悔しい思いをしてきた俺にとってはまさに青天の霹靂のような言葉だった。

ギターはニルヴァーナっぽいのにメロディーはポップ–某ベーシスト

大阪のライヴハウスに出た時に当たったバンドのベーシストに言われた言葉。おそらく「綺麗な動物」という曲についてのコメントだと思うのだが、的を得た言葉で感心した。「ギターは攻撃的だけどメロディーはポップ」というのは、俺の音楽全般に言える事なんじゃないか?とすら思う。

ギターと歌だけなのにベースやドラムの音が聞こえる。それはきっと君にベースやドラムの音が聞こえているからだろう−宿野隆(伊丹DABADA店長)

マスターは率直な物言いをする人で、初めて俺の音楽を聴いた時の感想は「よくわからない」だった。でも今や、俺の音楽にとって欠かせない理解者の一人。俺はずっと、過小評価に泣かされてきた。とりわけ、ライヴハウスやライヴバーといった、店からの評価の低さに泣かされてきた。だから、マスターのこの言葉は痛烈に胸に突き刺さって、気付いたら涙を流してしまっていた。

uniquely unique–カッシー(ボーカルグループぱある)

「強烈なオリジナリティ」みたいな意味らしく、とても面白い言葉だと思っていて、いつか自分の音源に帯を付けるとしたら、キャッチフレーズ的にこの言葉を載せたいと思っている。

グラムロックだ–寺西建二

違うと思う。


血に抗って

俺には、ライヴハウスやライヴバーに行くと、バンド、ソロを問わず、見た目や音を取っ払ってメロディーだけに耳を傾ける癖がある。で、その9割がただの歌謡曲だということに気付く。それはアマチュアに限った話ではない。プロも同じ。流行りの、テクノロジーを駆使したダンス音楽であっても、メロディーだけを拾えばただの歌謡曲。

歌謡曲的なメロディーラインは日本人の「血」と言えて、遺伝子レベルの病。ほとんどのアーティストはそこに「置きにいっている」だけ。また、作る側の人間が日本人なら聴く側の人間も日本人。同じ血が流れているからどこかに「聴いたことがある」という既聴感があり、既聴感に安堵して、その音楽を「良い」と言うが、俺には全くピンと来ない。血に抗うことなく、血のままに作った音楽なんて面白くも何ともない。ただの手抜きだろう。

かく言う俺も日本人だ。でも俺は、和田怜士の音楽には歌謡曲臭はないと自負している。意識的にも無意識的にもそれを徹底的に排除している。だから、一般的な日本人は困惑するだろうと思う。既聴感がない。日本人特有の匂いがしない。にも関わらず日本語が乗っている。わからない…と。そんな人たちが俺のライヴを観て感じ取ることができるのは熱量だけ。これまで何度「熱い」という感想をもらったことか。昔は嬉しかったけど、最近はさほどでもない。もちろん、顔面を紅潮させて「熱いライヴでした!」と言われると嬉しい。でも、声を弾ませることもなく「熱いですね」などと言われても、「またそれしか伝わらなかったのか」と寂しくなる。

ある友人が言った「俺は怜士の音楽は洋楽やと思ってる」という言葉を誇りに思っている。圧倒的に正しい。でも、だからこそ、このままずっと売れないかもしれない。無名のまま終わるのかもしれない。とはいえ、自分の音楽を信じる気持ちにブレはないし、それをそこら辺の日本人の為に、数の為に、分かりやすく噛み砕いて提供してやるつもりもない。

この文章もまた、「熱い」の一言で終わるのだろうか。


何は無くともロックンロールを!

無理矢理に「◯◯っぽい」という言い方をするとすれば、『呼吸』はアンプラグドの時のニルヴァーナっぽくて、『赤い雨』はノエル(・ギャラガー)のソロっぽい。つまり、どちらもロックだけどロックンロールではない。

次のスタジオではこの2曲の調整に並行して、更なる新曲の制作に励もうと思ってるんだけど、次はロックンロールでいきたいと思っている。

痛快な、色々な面倒臭い物事を一発で忘れられるような、ただド派手にギターを搔き鳴らしたいだけのような、出来れば歌詞に意味のない、でもやっぱりメロディーは良い、そんなロックンロールを作りたい。

俺を誰だと思ってやがる。

俺ならできる!


新曲『赤い雨』完成

世の中には、自分が書いた曲を「名曲だ」と平然と言ってしまえるアーティストがいて、俺はそういう人たちって大好きなんだけど(実際、そういう人たちの曲って悪くない)、俺自身はあまりそういう事は言わない。自分の事を「天才だ」と言うのは、本音だし、ひとつも恥ずかしくないけど、自分の書いた曲を「名曲だ」と言うのは、なんだかちょっと恥ずかしい。

新曲『赤い雨』が完成した。断言できる。これは名曲だ。言葉の乗っていない段階ですでに手ごたえを感じていたのだが、言葉を乗せてみて、その手ごたえが勘違いではなかったことを実感した。

単純なラブソングにしようと思っていたのだが、完成してみると、何かえげつない事になった。

誰にも分からないだろうけど、「私はここに居る」というフレーズが浮かんだ時、ゾッとした。


新曲『呼吸』完成

通算50曲目となる新曲『呼吸』が完成。「お前らと一緒にするな」という思いを形にした。客が馬鹿ばっかりだったり、その日、俺と同じステージに立つ演者がゴミばっかりだったりした場合には、急遽セットリストを組み替えて、この曲を演ろうと思っている。

本当に、馬鹿のひとつ覚えみたいに「楽しい」としか言わない、下手すりゃ「楽しい」以外の言葉を知らない人たちの中にあって、まともな呼吸(音楽)を維持するのは至難の業なのです。


ほぼ殺意

新曲制作。

歌詞の見直しさえ上手くいけば完成という段階まできている曲が一つある中で、今日、新たに一曲、恐ろしく良いメロディーが浮かんで歌詞待ち段階となった。

「恐ろしく良いメロディー」これは誇張じゃない。もしかしたら、過去最高の出来かもしれない。「俺、天才だ」と思った。これも誇張じゃない。

5曲。

納得のいく曲を5曲書くまではライヴをしない。

圧倒してやる。

「お前らと一緒にするな」という思いが、殺意染みて渦巻いている。

 


Happy Valentine 2019

うちの奥さんからもらった。この大きな一升瓶を一人で抱えて帰ったのかと思うと…。

ある日、俺は家から歩いて30分程のところにあるブックオフに物色に出掛けた。特に目ぼしいものもなく帰ろうとしたら雨が降ってきた。仕方なくコートに付いているフードを被って5分程歩いたところで、前から奥さんが歩いてきた。俺の傘を持って、わざわざ迎えに来てくれたのだった。本当に驚いて、嬉しくて、「これは一生忘れないな」と思った。

俺が滅多にラブソングを書かないのは、いつでも書けると思っているからだと思う。