リンゴちゃん

ビートルズはミスや偶然を大切にしたことで知られている。例えば、「アイ・フィール・ファイン」の冒頭で聞かれる「びぎょ〜ん」っていうギターの音はジョージのミスだし、アルバム『ラバーソウル』のジャケット(写真上)のメンバーの顔が歪んで伸びているのは現像時のちょっとしたミスから生まれたもので、完全なる偶然の産物だったりする。

今日、新たに知って驚いたのは、名曲「ヘイ・ジュード」のドラムがなぜ2番から入るのかということ。俺は今まで何の疑いもなく、ただのアレンジだと思っていたのだが、実はこれも計算外。偶然を利用したものらしく、その偶然の内容に驚いた。なんと、「1番を録音していた時にリンゴがトイレに行ってたから」らしい。普通、そういう場合にはもう一度録り直すか、付け足すかすると思うのだが、ビートルズは違う。ポールが「これだ!」と言って終わり。凄くない?凄いとしか言い様がないよ。だって、録音し始めた段階で誰もリンゴがいないことに気付いてなかったってことなんだから。

だいたい、そんなタイミングで厠に立つリンゴもリンゴだ。ま、仕方ないか。人生について宗教について魂について学ぶべくメンバー全員でインドに行った時(写真下)、真っ先に「飯が合わん」と言って帰ってきちゃった男なんだから…。


マスター

⬆︎マスター。偶然にも俺の高校の先輩に当たる。マスター8期生、俺20期生。

昨日、伊丹DABADAで飲んできた。歌いに行ったんじゃなくて、気分転換に飲みに行った。

店内に流れるBGM。マスターが気を利かせて佐野元春の曲を何曲か流してくれた。そして、その後、聞こえてくるはずのない曲が聞こえてきた。

⁉︎

俺の曲『伊丹DABADAで逢いましょう』だった。クリアな音。でも俺にはレコーディングした覚えがない。

「こ、これは?」マスターに訊くと、先月のオープンマイクの日に俺が歌ったものを密かに録音していたらしい。

「ええ曲やから」とマスター。

感動した。嬉しかった。


嘘と手

「表現の自由」ってな言葉があって、法律でも認められてるけど、実際にはこの国にそんなものはないと思う。

身近な人たち。普通にその辺に暮らしている人たちがそれを認めようとせずに監視し合ってるんだからどうしようもない。

本音。思っていても言えないことが腐るほどある。

人が耳を傾けるのはいつも、当たり障りのない清潔な嘘だけ。

バラの花を眺める時に棘だけを見る人はいないだろうに、本音を聞く時には棘だけを見て花を見ず、一切触れようとしない。

清潔な嘘と綺麗な嘘じゃ、清潔な手と綺麗な手くらい意味が違うと思う。

造園業を生業としていた絵描きの親父の手は、毛深くていっぱい傷があってゴツゴツしてたけど、生命力があって綺麗だった。


新曲『savvy?』完成

タイトルの『savvy?』は大昔の海賊が使った言葉で、相手を小馬鹿にした「おわかり?」という意味。最近だと映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウの口癖になってる。

本格的にフォークに挑戦してみた。ディランっぽい。使うコードは僅かに3つ。僅か3つのコードの中に可能な限り言葉を詰め込んでみた。詰め込み過ぎて蓋の閉まらない弁当箱みたいになってる。

良い曲だ。

次のライヴでやる。


14

昨夜、ダバダさんで歌ってきた。過去最多、14曲。

1.果物をてんこ盛った巨大なケーキ 2.未来へ 3.ポーラスタア(佐野元春) 4.伊丹DABADAで逢いましょう 5.ハングリーマン〜恋の尊厳死〜(BLUES version) 6.バタフライ 7.復活の予感 8.ドライフラワー 9.SURFBLUE 10.THERE WILL BE LOVE THERE〜愛のある場所〜(ブリリアント・グリーン) 11.AND I LOVE HER(ビートルズ) 12.人生を語らず(吉田拓郎) 13.SURFBLUE 14.伊丹DABADAで逢いましょう

14曲中4曲がカバー。今や完全なる「持ち歌」と化した3はいつもよりグッとテンポを落としてやってみた。10は我が奥さんとの初共演。奥さんのバックでギターを弾いた。写真がないのが残念。11、12は毎度お馴染み、澤英児さんのギターをバックに歌った。「人生を語らず」は驚くなかれ、俺のリクエスト。昔から好きで、いつかカバーしてみたいと思っていた。オリジナルは全曲、3同様、グッとテンポを落としてやってみた。

いつもなら座ってやるところを立ってやる。いつもよりテンポを落としてやる。すると、ただそれだけのことで、やり慣れた曲の全てが違った表情を見せた。

また一つ学んだ。引き出しが増えた。増えた引き出しの中に新しい武器を見つけた。


酷暑に吠えろ

暑いよ!バカヤロウ!

蝉!この野郎!朝からうるさいよバカヤロウ!毎年毎年無駄に寿命縮めやがって学習能力ゼロかバカヤロウ!

鰻!この野郎!タレだけで何杯飯食えると思ってんだバカヤロウ!お前食う時以外いつ山椒使えばいいんだバカヤロウ!

素麺!この野郎!もったいぶって入ってるピンクも緑も同じ味じゃねえかバカヤロウ!わけのわからない色気付き方してんじゃないよバカヤロウ!

ビール!麦茶!この野郎!これ見よがしに冷えてんじゃないよバカヤロウ!どっちも麦!気付いたら朝から晩まで麦麦麦、麦中心の生活…って営めないよバカヤロウ!

打ち上げ花火!この野郎!たいがい音だけ聞こえて見えねえじゃねえかバカヤロウ!

稲川淳二!この野郎!ただの顔芸じゃねえかバカヤロウ!顔が暑いよバカヤロウ!毎年毎年霊に食わせてもらってんじゃないよバカヤロウ!霊も霊だ!律儀かバカヤロウ!

チューブ!この野郎!北部と南部は無視かバカヤロウ!

何も言えなくて…夏!それはもう完全に熱中症だ!病院へ行け!病院へ!

プール!この野郎!水の使い過ぎだバカヤロウ!命の水を何だと思ってやがる!泳ぐな!飲め!

うちわ!この野郎!あおぐ行為が暑いよバカヤロウ!

かき氷!この野郎!汁かけられるたびに溶けてんじゃないよ!金返せバカヤロウ!

メロン!この野郎!高いだけでひとつも旨くないよバカヤロウ!

「暑い時こそ熱い飲み物を」ってバカヤロウ!お前は「火事だあ!」って燃えてる家に放火しに行くのかバカヤロウ!水を撒け!水を!麦茶に謝れバカヤロウ!

「暑い時こそ辛いものが旨い」って知らないよバカヤロウ!お前の味覚に興味はないよバカヤロウ!素麺に謝れバカヤロウ!

暑いよ!バカヤロウ!

暑いよ!バカヤロウ!!

暑いよ!バカヤロウ!!!


明確な構想

実はサポートメンバーの募集は諦めずに、期待せずに、継続している。あくまでサポートメンバーの募集で、バンドメンバーを募集してるわけではない。要するに、「ザ・◯◯◯◯」がやりたいわけではなく、「和田怜士&ザ・◯◯◯◯」がやりたいということ。

どんなバンドにしたいのか。自分でも驚くくらい明確な構想がある。

まず、「エレキギターを主体とした爆音ロックバンド」は絶対に嫌だ。深く歪ませたエレキギターの電気電気した音はいらない。爆音にも興味がない。だいたい、俺の声は爆音には合わない。爆音に対抗すべく叫ぶんじゃなくて、音の上に声を乗せていく感じで歌いたい。だから、フォーク・ロック寄りの、ちょっと枯れた感じの、良い意味でスカスカ感のある、味のある音でやってみたい。エレキギターはエレキギターでないと絶対に駄目だという曲やタイミングで「適切に」鳴らしたい。

それから、本来ならギターで弾くべきリフ的なフレーズは可能な限りベースに振りたい。だから、ベースのトーンは少し固めがいい。ドラムには痒いところに手が届く絵心的なものを望む。パワーはいらない。逆に、キーボードには繊細さではなく迫力を求める。鍵盤を叩きつけて音を出すタイプの人が好ましい。そして、全体的な理想を言えば、ベースもドラムもキーボードも歌える人であって欲しい。

ギターとベースの役割を逆転させて、ドラムとキーボードのいわゆる「売り」を逆転させて、「ソロではハードに。バンドではソフトに」形態にまつわる音のイメージを逆転させて、コーラスの効いた、ちゃんとした音楽をやりたい。

と、必要とあらば多少の妥協点は見出すにせよ、基本的には、こういったメンバーが揃って、俺の頭の中で鳴っているような音が出せるのであれば、バンドが欲しい。でも、見出すべき妥協点が多くなりそうなら、ソロのままでいい。

良いバンドというのは、本当に、奇跡の産物以外のなにものでもないし、バンドを必要としないロックというのもまた、考えてみれば、奇跡の産物以外のなにものでもないからね。


Good-by Concept

聖飢魔Ⅱは「悪魔」がコンセプトで、カブキロックスは「歌舞伎」がコンセプトだった。氣志團は「80年代のヤンキー」がコンセプトで、ベイビーメタルは「ロリメタル」がコンセプト。

日本の音楽界って、コンセプトバンドばっかりだ。「コンセプトバンド」って、言い換えれば「ヴィジュアル系」だろう。音楽の上にイメージがあるんじゃなくて、イメージの上に音楽があるから、イメージが崩れたら音楽も崩れる(かつて、KISSがメイクを落としたら全く売れなくなったのがその良い例だ)。たまも世界の終わりもゴールデンボンバーもみ〜んなコンセプト。最近じゃ、メンバー全員がメイドの格好をしているガールズバンドがいたり、アニメから飛び出してきたような格好をしたコスプレバンドがいたりする。声の限りに「もうええわ!」と言いたい。音楽をやれ、音楽を。

ところで、俺が好きな日本のロックアルバムにサニーデイ・サービス(写真上)の「サニーデイ・サービス」(写真下)というのがある。メロディーが良くて、歌詞が良くて、音が良くて、捨て曲が無い名盤だ。

写真を見てもわかるように、サニーデイはコンセプトバンドなどではなかった。イメージで誤魔化すことなく、ストイックな姿勢でひたむきに素晴らしい音楽を追求していた。本来はこちらが一般的であちらが特殊であるべきなのに、こちらが特殊であちらが一般的かのようなことになってしまっている。日本の音楽界とリスナーは完全に病んでる。狂ってる。

先日、サニーデイのドラマーが亡くなった。センスの塊のような素晴らしいドラマーだった。御冥福を祈ります。


夢を見た

寝ている俺の胸の上に大きな鷹がいて、その鷹が俺を起こそう起こそうとしている夢を見た。

夢占いによると、昔から「一富士二鷹三茄子」という言葉があるように、大吉夢らしい。

何が起こるんだろう。