詩『才能の葬儀』

口に手を突っ込んで

喉に指を捩じ込んで

酒に爛れた赤黒い言葉が

朽ちた床の上に音もなく落ちる

気焔を吐こうとして

血を吐き続けた

老いた詩人の魂が見放したもの

見放したのではなく

見放されたことに気付いた時

秩序をくれ!と叫んで

妻の面影

ロッキングチェアに哭き崩れた

情熱の枯渇

忘れ去られた獣道

才能の葬儀

庭先にカラス

炭化した夢

粉々に砕け散って

時計が止まる


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