そのようにシビアな問題の相談相手として、私のような社会的に地に足の着かない、夢の波間を漂泊し続けておるような人間を選んでいただいた事に、心から感謝いたします。
これは非常に名誉なことだと捉えて、半ば自分自身の事だと思って、私なりに熟考に熟考を重ねた結果を書いてみたいと思います。少しでも参考になれば、幸いです。
〈1〉「軸」を、一本とは言わず、二本持ってみてはいかがでしょうか。
〈2〉軸を一本、極めて明確でズ太いビジョンを一本持って前進するというのは、一見能率的なように見えて、実は結構危険が伴うんじゃないかと思います。頭の中から「遊び」の部分を完全に排除して、特攻隊のような姿勢の下に動くというのは、逆に言えば、軸に縛られて、身動きがとれなくなってしまうんじゃないかと思います。
〈3〉例えば、棒線グラフというものは、横の「X軸」と、縦の「Y軸」の重なり合う点を線で結んで成り立っておりますが、あれと同じ要領で、自分の中で、二つの軸を設定して、その二つの軸が重なり合う点を結んでいって、その線上を素直に、真っ直ぐ歩いてみる―というのはどうでしょうか。
〈4〉「転職」という課題で言えば、X軸に持ってくるべきはやはり、「転職を思い立った最大の理由」ということになるだろうと思います。それは例えば、「もう少し給料の良い職に就きたい」であったり、「泣く子も黙る一流企業に勤めたい」であったりするんだろうと思いますが、「人間関係の平穏な職場に就きたい」というのは、あえて、このX軸には持って来ない方が良いかと思います。なぜなら、それは、新たな恋の相手を探す際に、「セックスの巧い女がいい」と言っているようなもので、実際にそこに入り込んでみないとわからないことだからです。
〈5〉次に、Y軸に持ってくるテーマですが、これは、「自分の『売り』は何なのか」ということになると思います。要するに、「自信」のことです。「勝負」というのはやはり、自信ありきだと思います。自信がないと勝負にならない。自分の売りは何なのか―これを出来る限り正確に把握することは、何をするにせよ、めちゃくちゃに大切なことだと思いますし、ここのところを誤解しているがゆえに、人生において大いに苦戦している人というのが、意外と多いように思われます。
〈6〉「遊び」の入り込む余地のない、抜き差しならぬ二つの点をとりあえず固定するところから始めるというのは、要するに、服を購入する際に、サイズと価格に着目するところから入って、デザインを後回しにするようなもので、逆に言えば、遊びと、楽しみが、しっかりと最後の醍醐味として残るということです。
〈7〉というわけで、とりあえず、二本の軸を設定してみてはいかがでしょうか。「軸=一本」という概念をある意味捨てて、二本、設定してみてはいかがでしょうか。そして、その二本の軸が重なり合う点を「星」と見立てて、信じてみてはいかがでしょうか。いかんせん「星」なので、刻一刻、微妙にその位置は移ろっていきますが、それは、ね、人間だもの。当然と言えば当然で、自然と言えば自然です。一本の軸に縛られて、意固地になって、身動きがとれなくなるよりは、ずっと良いかと思います。
〈あとがき〉相変わらずイメージ優先の考え方、文章でごめんなさい。これでも真面目に考えて、言葉を選んで書いたつもりです。やっぱり私には荷が重かったかな…。