私は昔から日本のGSが大好きで、特にザ・カーナビーツと、ザ・スパイダースと、ザ・タイガースが好きで、先日、タイガースがギターの加橋かつみ(トッポ)を除くオリジナルメンバー4人で再結成して、全国ツアーをするというので過剰なまでに胸躍ったのであるが、全国31ヶ所のライヴチケットが即日完売したらしく、大阪でやる時には絶対観に行こうと思っていたのに非常に残念である(チケットは現在、十倍の値が付いているらしい)。
沢田研二(ジュリー)、森本太郎(タロー)、瞳みのる(ピー)、岸部一徳(サリー)の4人が再び一緒にステージに立つなんて夢のようだ。どんな音を出すんだろう。
中でも、私が注目しているのはやはり、岸部一徳である。私は、岸部一徳は日本屈指のベーシストだと思っている。疑われる方は名曲『君だけに愛を』のベースラインを聴いてみられるがよろしい。あの曲は、一徳の音を聴くためにあると言っても過言ではない。そのくらい素晴らしい。
ところで、その昔、ザ・タイガースは大阪の「ナンバ一番」というライヴハウスに出演していた。現在はその跡地に同じ名前のパチンコ屋ができていて、私は一度見に行ったことがある。そう、パチンコ「ナンバ一番」をわざわざ見に行ったのである。ただのパチンコ屋であった。が、「自分は今、昭和40年代にいるんだ!」と強く思い込むことで、若き日のタイガースと、その熱狂的なファン達の面影、体温を感じることができて、なんだかもの凄く感動した。
パチンコ屋から出てきた、顔に「大負けを喰らいました」と書いてあるオヤジが、少女マンガの如くに目に無数の星を瞬かせている、心ここにあらずで無礼な程に場違いな私を見て、怪訝な表情を浮かべていたっけ。