ビールと辛苦を共にして

決して心が沈んでいるわけではない。が、跳ねているわけでもない―この中途半端な精神状況が耐え難くて、ついつい酒に手が伸びてしまうのである。

熱くもなく冷たくもない―「常温」と言えば聞こえは良いが、「ぬるい」と言った途端に最低である。

心が、屋根の下の巣の中のツバメの子供を彷彿とさせる状態である。ピーピーピーピー鳴いて、底無しに刺激を求めている。

酒なら他にも色々あるのに、何故ビールが一番好きなのかと言うと、「冷たい」という刺激と、炭酸によってもたらされる刺激があるからだと思う。ってなことを言うと「じゃ、チューハイでもいいんじゃねぇか」ということを言われる方もおられるかも知らんが、チューハイは基本的に甘い。その点、ビールは苦い。甘いと苦い、どちらがより刺激的か。そりゃ、「苦い」に決まっている。

「辛い」も「苦い」も刺激的で、私はいずれも好きである。

「辛い」のも、「苦しい」のも、出来る限り避けて生きていきたいものだが、全く刺激のない、甘くぬるい生き方よりはずっとマシなような気がしないでもない。


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