花はいつも片隅に咲いていた

レンズ工場は、男ばかりの職場だった。
介護施設は、女ばかりの職場だった。

男ばかりの職場で嫌われる男というのは、嫌われても仕方のないような奴だった。でも、そんな奴でも、みんな、決してハミゴにはしなかった。
女ばかりの職場で嫌われる女の人というのは、嫌われても仕方のないような人ではなく、ちょっとクセがあるというだけの話だった。でも、そのちょっとしたクセのために、あからさまにハミゴにされていた。

介護施設で働いた一年半の中で、私は二人の女の人に「友達になってください」と告白染みたことを言った。そして、快く友達になってくれた。いずれも、施設においてはハミゴのような扱いを受けている人だったのだが、私の目には、彼女らの方が、彼女らをハミゴ扱いしている女どもの何倍も、何十倍も魅力的に見えた。そして実際、魅力的だった。


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