告白

誰も信じてくれないと思うが、私は本当は、世間一般の人たちを心から尊敬している。みんな、平然と、アレもコレもできている。できて当たり前だとでもいうような顔をして歩いている。それに比べて私は、一つのことしかできないから、世間一般の人たちに対して、畏れに近いものさえ抱いている。何故そんなに色んなことができるんだろう…と本当は、畏怖の念でいっぱいだったりする。

私は、普通の人が普通にやっていることができなくて、普通の人がやろうとしないことについてだけ、人一倍上手くできる。能力が、社会的に意味を為さない、現実味に欠ける方向にのみ偏り過ぎていて、そりゃもう哀しいほどに生きづらいのである。

「自由に好きなものを創れ」と言われたら、私は、誰にも負けない自信がある。が、誰かの要望に沿ったものを的確に創れと言われたら、もう手も足も出ない。
アーティストとしての自信はあるが、職人としての自信がない。勝手に創ったものを、勝手に提供して、勝手に楽しめというのはできても、オーダーに沿ったものを拵えて、納得させて、喜んでもらうということが一切できない。だから、報酬が発生しない。金にならない。

本当は、私は、自分に与えられた能力について、常に懐疑心を抱いているし、抱いてきた。嬉しいなあー♪愉しいなあー♪なんて思ったことがない。ずっと不安だ。だからどうしても、アルコールが手放せなくて情けない。

神様に会って、「僕に与えたこれには一体何の意味があるんですか?」って訊いてみたいような気もするが、「特に意味はない」って言われるような気がしないでもないので、訊くに訊けない。

誰か、少しでも参考になるような人間が身近にいれば良いんだけど、これがいない。当たり前だ。私ほどバランスの悪い人間なんてそうそう滅多にいないんだから。

どうやって生きていこうと思う。切実に思う。今までだって、ずっと切実だった。


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