アルバム解説『爆弾』(リイシュー盤)

<収録曲>1 introduction 2(9)FLOWERS IN THE DIRT 3(10)綺麗な動物 4(11)バタフライ 5(12)果物をてんこ盛った巨大なケーキ 6(13)紙吹雪舞う 7(14)復活の予感 8(15)未来へ

¥1500


2017年9月のライブの模様を収めた『ROCK&REISHI』と、同年11月のライブの模様を収めた『爆弾』を、前半と後半に分けて一枚に纏めたものである。纏めるに当たって、マスタリングを一からやり直してあり、封入カードのデザインも変更してある(前記事参照)。

一枚に纏めた理由は、『爆弾』単体だと音が凄まじ過ぎて一般的なリスナーには拒絶されるだろうと考えたからである。つまり、このリイシュー版『爆弾』は、一般的なリスナーとコアなロックファンの双方にアピールできる構成となっている。

『爆弾』が凄まじい音になったのは、会場となった扇町para-diceの作る音が馬鹿デカいからに他ならない。あそこでロックバンドのライブを聴くと、普段からあそこへ行き慣れている人でない限り、まず間違いなく耳鳴りに見舞われる。が、それが奇跡的に功を奏して、「アコースティック・グランジ」とも言える音が誕生した。一方、『ROCK&REISHI』として発表していた前半も同会場でのライブの模様を収録したものではあるが、こちらは『爆弾』とは別のレコーダーを客席ではなくステージ上に置いて録音したものなので、幾分、音がソフトなのである。ただ、「ソフト」とは言っても、あくまで幾分。『爆弾』に比べて…という意味であって、普段、ヌルい音楽を聴いている人たちを吹き飛ばすだけのインパクトは十分にあるし、俺にしてみれば、この日のライブは「一人でやっていける」という確信を得たターニングポイントであり、これを聴かずして和田怜士は語れないと言っても過言ではないのである。

前半後半ともにセットリストは同じ。当時、最も気に入っていた並びで「ロックオペラ・綺麗な動物」と呼んでいた。ギターの音はアンプの前に置いたマイクで拾っている。当時気に入っていた音で、弦の金属的な響きが前面に出ている。また、オーディエンスのノリも良く、前半ラストではアンコールに応える気のない俺とオーディエンスによる伝説のやりとり、「それでええんか和田怜士!」「やかましい!」が聞ける。

まさに、2017年のベスト・パフォーマンスを凝縮した一枚。あなたは前半の勢いに乗って後半に足を踏み入れることができるだろうか。


誰より俺が待っている

⬆︎リイシュー盤『爆弾』の封入カード。

『eclipse』『爆弾』『DABADA TV SHOW』の制作が佳境を迎えている。

昨日はマスタリング担当であるDr.Fのスタジオを訪問して、最終的なサウンドチェックを終えた。あとはプレスを待つのみ。俺は俺でジャケットと封入カードのデザインの見直し、変更、制作を終えた。

完成真近。皆さんの手元に届くのはまだ先の話になりそうだけど、俺の手元には近日中に届く。当分の間は俺自身が繰り返し聴いて楽しもうと思っている。俺自身が繰り返し聴いて楽しめれば、誰が聴いても楽しめるだろう。

これまでやってきたことの集大成をこれからのために作り上げた。全て自信作だ。

今年の名盤ラッシュ。リアム、ビートルズ、佐野元春と来たらもう和田怜士しかないだろう。残念ながら、皆さんの手元に届くのは来年になるけど…。


登場!みこみかん

昨日、伊丹DABADAで、俺と俺の奥さんとで命名させてもらった女性シンガー『みこみかん』のライブがあった。遂にベールを脱いだ。

ジャズナンバーや、ビートルズ「BLACKBIRD」、シンディーローパー「TRUE COLORS」、ポリス「見つめていたい」、ゴダイゴ「銀河鉄道999」等をみこさん独自の解釈、アレンジで歌い切った。コピーでもコピー崩れでもない、本来の意味での「カバー」は聴き応え十分。曲のチョイスと組み合わせに、ベタではなく、かといって奇をてらうでもない自然にひねくれた独特なものがあって、何が飛び出すのか読めない面白さがあった。お客さんは皆見入っていて、完全にみこワールドに呑み込まれていた(俺、会場の一番後ろから全体を見ていたから間違いない)。

事前に、俺の曲をカバーしてくれると聞いていたので、何を歌ってくれるのかを予想していた。俺の読みではまず間違いなくバラードで来るだろうと思っていた。で、なんとなく「グラサージュ」じゃないか?と思っていた。意表を突いてロックナンバーを持ってくるとすれば「バタフライ」だろうと思っていた。なぜか自信があった。みこさんは「グラサージュ」か「バタフライ」で来る!が、読みは大きく外れた。めちゃくちゃ大きく外れた。暴投。みこさんが選んだのはなんと「口車に乗って」だった!

腰を抜かした。「口車に乗って」は完全ノーマークだった。みこさんは怒りの曲はやらないと思い込んでいた。みこさんをナメていた。みこさんはこの凶悪な昭和ガレージGSナンバーを呪術的な歌唱で歌い上げた。素晴らしかった。歌い終わると「ロックンロール!」の声が飛んだ。俺より先に叫んだ人がいたのである。

断言する。みこみかんはグレートなシンガーだ。どこかぶっ飛んでいて、どこか独特で、似たような人がいない。最近思うのだが、良いアーティスト、パフォーマーというのは皆、頭に「クソ」が付くほど真面目なのだ。真面目にやってるからこそのオリジナリティーであり緊張感だ。緊張感で黙らせてオリジナリティーを喰らわせる。みこさんにはこれができる。だから、グレートなシンガーだ。

俺と同じで、一回のライブにものすごく気合いを要する人だから、そんなにしょっちゅう人前に立つことはないと思う。でも、もし観る機会があれば観て欲しい。

名前はみこみかん。覚えた?

自信を持ってオススメする。


音楽を聴け

先月今月とゴールドラッシュだった。リアムギャラガー、ザ・ビートルズ、佐野元春が立て続けに素晴らしいアルバムを出して、歓喜に次ぐ歓喜だった。

皆、音楽を聴かなくなってきている。BGMのようにして聴き流すように聴くというのは音楽を聴いているとは言わないし、流行りの音楽を使い捨てのように取っ替え引っ替え聴くというのも音楽を聴いているとは言わない。

「あなたはどんな音楽が好きですか?」と問うた場合に、答えられない人があまりに多過ぎる。自分の好きな音楽がどんなものなのかすらわからないのに、レコードやCDといった「モノ」に金を出す訳がない。だから、安くついて、形として残らないネット配信に需要が集中するのは当然の事で、そうして、モノを売る店が次々に潰れていく。

音楽。リスナーはネットで使い捨て。間に合わせていて、アーティストはライブに取り憑かれている。どこにも形がない。手に取れるものがない。リスナーは大して好きではないものがかさばることを嫌い、アーティストは皆自信がなくて足跡を残したくないと思っている。リスナー、アーティストともに、音楽について、用が済めば消えてなくなるものでないと都合が悪いと考えている。

時代遅れだろうがなんだろうが俺は作品を作り続ける。モノを作り続ける。かさばらせ続ける。

昔、喉から手が出るほどレコードが欲しくなかったか?CDが欲しくなかったか?欲しかった時、今よりずっと音楽が好きだったろ?今よりずっと人生が楽しかったろ?忘れてはいけないものをあっさり忘れておきながら「生きてて楽しくない」とか「人付き合いがめんどくさい」とか、たかが40かそこらで「俺も歳をとった」とか言わないでくれ。疲れた顔をしないでくれ。完全に自業自得じゃないか。知ったこっちゃない。

思い出せ。頼むから思い出してくれ。新しく知る必要なんてない。新しく知ろうとすればアンタらはどうせまた間違えたことをする。思い出せ。ただひたすらに思い出せ。思い出してくれ。


ロックンロール・ウェザー誌最新号より抜粋

和田怜士が新作『eclipse』の制作に並行して、これまでに発表した4作品の見直しを行い、リイシュー盤を制作、発表することを明らかにした。リイシュー盤について、本誌が入手した情報は以下の通りである。

☆1st『ROCK&REISHI』と2nd『爆弾』が合体。1枚仕様に☆

同じ会場。同じセットリスト。しかしながら似ても似つかない音。この2枚のアルバムを1枚にまとめ、タイトルを『爆弾』として再発。

☆3rd『RED CARD』が廃盤となり、4th『DABADA TV SHOW』が大きく生まれ変わる☆

『RED CARD』が廃盤となる。が、このアルバムの中から「モナリザ」「ハングリーマン〜恋の尊厳死〜(BLUES version)」の2曲を4th『DABADA TV SHOW』に移植。同時に、これまで『DABADA TV SHOW』に収録されていた「未来へ」「アニマ HOLD ME TIGHT」の2曲をカット。これに最新リマスターが施されて再発される。


最新盤『eclipse』とリイシュー盤『爆弾』『DABADA TV SHOW』は3作同時リリースの予定。価格は『eclipse』『爆弾』の2作が¥1500。『DABADA TV SHOW』が¥1000となる。価格の引き上げについて、和田怜士をマネージメントしている海賊ライチrecordsは「引き上げたとは思っていない。作品のクオリティを思えばむしろギリギリ限界まで引き下げたと考えている」とコメントした上で、「予約を受け付けさせて頂いた方々にのみ¥0で提供する「予約特典」は継続します。これは怜士の意向です」と付け加えている。

(R&R WEATHER 飯沢寛文)


大きな心臓

やり切った。余すところなく出し切った。「口から身体より大きな心臓を吐き出す」という言葉の意味、観に来てくれた人たちには分かってもらえたと思う。吐き出した心臓がライブの後、ボロボロのピックに姿を変えて床に転がっていた。捨てるのは忍びないので、拾い上げて、いつも欠かさず観に来てくれる人の掌の上に置いた。

「おのれが楽しかったらええねん」みたいなふざけた出演者は一人もいなかった。これは凄いこと。滅多にない。素晴らしいこと。皆、それぞれに、強烈に「自分はこれが好きだ!」というのがあって、そんな中にあって、「ロッケンロー!」と叫ぶのは快感。「俺はロックだ」ではなく「俺がロックだ」と言っているかのような、爆発的な嬉しさがあった。

イベント。毎回このくらいのクオリティだったらなあ…と思う。やっぱり、レベルの高い人=心から音楽を愛している人とやらないと面白くない。

昨夜のLA CASETAは音楽そのもの。お店自体が大きな心臓だった。


明日会おう

10/13(SUN) 川西能勢口 LA CASETA

【OPEN/START】17:30/18:00

【CHARGE】¥500+1drink(¥300)

【TIME TABLE】

18:10〜 タイガーマスク

18:55〜 和田怜士

19:40〜 石田由紀子

20:25〜 SIN

21:10〜 えーゆにっと


昔、売れる前の爆笑問題が「不発の核弾頭」って呼ばれてたのを思い出した。

不発の核弾頭。爆笑が売れた今、このフレーズは俺の為にある。

口から身体より大きな心臓を吐き出してやる。


9

一昨日、YouTubeのチャンネル登録者数がまた「1」増えて「9」になった。本当に嬉しい。

「9」という数字。「9」という人数。大したことないとお思いだろうか。全然大したことないことない。俺と同じような立ち位置で音楽やってる人ならわかると思うのだが、例えば、ライブに9人のお客さんを呼ぶことのいかに困難なことか。

チャンネル登録者数「9」。これは、以前にも書いたが、俺に「活動資金に充てて下さい」と言って10万円を投資してくれた人の数のようなものである。つまり、今や俺の心の金庫には90万もあって、これで良い曲を買ったり(作ったり)、良いライブを買ったり(やったり)するのである。90万もあれば相当良いものが買える。本当に有難い。

そんなこんなが動画の再生回数にも表われてきている。例えば、先日の記事「怜士、ロックンロール・ウェザー誌のインタビューに答える」の中で書いた『グラサージュ VS 雫』が面白いことになっている。記事を書いた時は、雫がグラサージュを1回差(1ゲーム差)で追いかけている展開だったのだが、そこから雫がグラサージュを抜いて3ゲーム差を付けた。で、そのまま雫が逃げ切るのかなと思っていたらグラサージュが差を詰めて来て、追い付いて、現在、ゲーム差なしになっている。自分の曲が自分の手を離れて、意志を持って戦ってるみたいで楽しい。曲は曲で大変なんだな。俺に自分の力を認めさせようと必死。セットリスト入りを賭けた闘い。正味の話、プロ野球並みに楽しませてもらってたりする(笑)

登録者数にせよ、再生回数にせよ、再生回数による順位争いにせよ、YouTubeを見るたびに楽しかったり嬉しかったり。

観てくれている皆さん、本当にありがとう。今後ともよろしくです。