愛と笑いの夜ではなかった

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サニーデイ・サービスのアルバム「愛と笑いの夜」と「サニーデイ・サービス」

以前から持ってはいたが、今までなぜかあまり聴かなかった。良い音楽だというのは一聴してわかったが、今までメンタル的にあまりフィットしなかったのである。が、二日前の夜、酒の肴に何気なく聴いて以来、猛烈な勢いで私の中のヒットチャートを駆け上がり、今や私の部屋に於けるヘビーローテーション盤となった。

アナログ感のある隙間だらけのバンドサウンドに、曽我部恵一の甘い声が乗る。音やメロディからは洋楽からの影響が強く漂ってくるのに、詞は徹底的に日本語で、今時、英語コンプレックスを微塵も感じさせない素直な歌い方が逆に新鮮。北野映画の「キタノ・ブルー」のように、音楽全体を薄く絶妙に覆う昭和臭がたまらない。素晴らしいバンド、素晴らしい「日本の」バンドである。もう随分と前に解散しちゃってるけれども…。

4、5年前、曽我部恵一のソロライブを観に行った時のことを思い出した。当時大阪に住んでいた私は、地下鉄に乗って、なんばHatchまで一人で観に行ったのである。
ライブ中も、ライブ後も、涙が止まらなくて往生した。わけがわからなかった。無言で会場を出ると夜。螺旋階段を降りて行く途中にベンチがあって、そこで煙草片手にビールを飲みながら、Hatch前の川を眺めていた。なんか、割りと絶望的な心境だった。


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