ドッペルゲンガー

でね、長いトンネルを抜けて、和田怜士として音楽活動を再開することを決意した時、まさにその瞬間、降ってきたかのように誕生した曲がこの『バタフライ』だったわけです。随分と長いこと曲作りから遠退いていたのに、突然物凄いのが出てきたから驚いた。最初に曲の輪郭のようなものがぼんやりと浮かんでから完成に至るまでの過程からして、それまでに経験したことのない流れだった。冗談抜きで奇跡だと思った。だから当然、思い入れが違う。

これまで19回ライブをやってきたけど、この曲をやらなかったのは僅かに2回。初ライブの時(信じられないことにやり忘れたのだ。久々のライブで嬉しくて脳みそ爆発してたし、久々のライブなのにこの曲の他にもやったことのない曲を幾つか並べたからいっぱいいっぱいだった)と全曲新曲ライブの時だけ。だから、これから順次発表していくライブアルバム4枚全てにこの曲は収録されている。

驚くほど飽きが来ない。何度やっても冒頭のアルペジオを弾く時には緊張するし、何度やってもアルペジオからストロークに移る瞬間には無敵感でいっぱいになる。

この曲は俺そのもの。これを聴けば俺の音楽がいわゆる邦楽ではないことが良くわかると思う。メロディー、歌詞、ギタープレイ…全てが俺。ストーンズが「サティスファクション」をやり、ノエルが「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」をやるように、和田怜士は『バタフライ』をやる。つまりは代名詞。

それにしても何故この曲に限ってたまにこうして特別に記事にしたくなるんだろう。自分でもわからない。俺の中に、せめて当ブログの愛読者の皆さんにはこの曲が俺にとっていかにスペシャルな存在なのかをわかっておいてもらいたいという気持ちがあるのは確かだが、どうやらそれだけでもないようで…。

何かあるな。演奏するたびに思うことだけど、この曲、何かある。ライブでこれをやらないと、得体の知れない寂しさのようなものが残るし…。タダ者じゃない。


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