思えば、女の人と喋れない病を克服できたのも、親父の最期、色々と介助してあげられたのも、今の奥さんと知り合えたのも皆、周りの反対を押し切って介護職に進んだからである。「あの仕事だけはやめとけ」みんなに言われたが耳を貸さなくて本当に良かった。求めもしない助言というのはそういうものである。要らない。
「要らない」で思い出したが、世の中には要らないものが沢山ある。例えばコレ。
もちろん、トイレットペーパーが要らないと言いたいわけではない。要らないのはミシン目である。綺麗に切れたためしがない。綺麗に切れたためしがないのに意識させられる。意識して綺麗に切れればまだ良いが意識したとて綺麗に切れないという言語道断の役立たず。要らない。それから、コレも要らない。
ジェットタオル。ハンドドライヤーとも言うが要するにポンコツ。呼び名などどうでも良い。これを使ってちゃんと乾いたためしがない。アライグマのように必死こいて手を擦り合わせても乾きゃしないし、中途半端なタイミングで勝手に止まってけつかる。コロナが出てきてめっきり見なくなった。せいせいしている。それから、コレも要らない。
これの極細い方が要らない。使用頻度が低過ぎて一度も使わないうちにインクが涸れる。一年に一度あるかないかで回ってきた出番に一年に一度であるにも関わらず能力を発揮しない。イラッ!ときてゴミ箱に叩き付けたいところだが、細い方がまだ書けて人質に取られているのでほかすにほかせない。終わっている。マッキー。名前の由来は「末期」なんじゃないか?とすら思う劣悪品。
求めていない助言。トイレットペーパーのミシン目。ジェットタオル。マッキーの極細い方。最近、断捨離に励んでいても思う事なのだが、要らないものというのは総じてドヤ顔をしている。したがって、昔からよく話題に上る「キャラメルコーンに入っているピーナッツは要るのか」という問題についておのずと答えが出る。
要る。
彼女は主役を立てるべく常に袋の底に沈んでおり、ドヤ顔の「ド」の字もなく、可憐とも言えるほどに謙虚だからである。