昨日の盆踊り大会で、私がじっと凝視していたのは、太鼓叩きの方々なのである。
以前、このブログ上でも紹介した、伊丹最北端が誇る太鼓の頭領「坂上さん」ご本人は、最後までやぐらには上がらず、ベンチに座ってビールを飲んだり、若者に混じってやぐらの周りを踊り狂ったりしておられたのだが、その代わりに、数多くいる坂上さんの弟子の方々が入れ替わり立ち代わりやぐらに登って、太鼓を叩いていたのである。
坂上さんの弟子には、坂上さんの息子さんもおられるし、年配の方もおられれば若い方もおられるし、男だけではなく、女性も結構おられて、それぞれにそれぞれの癖があって、同じ曲を叩いても、叩く人によってノリが全然変わってくるので、見ていて聞いていて全然飽きないのである。
中でも、段違いに上手かったのはやはり、坂上さんの息子さんであった。この坂上Jr.は長身で、びっくりするほどの男前なのであるが、彼は本当に、段違いであった。
腰を中心に、全身でリズムをとって、やぐらの上で完全に「舞って」いた。バチは背中の方から大きく降り下ろされて、一音一音の説得力が並大抵ではなく、父親であり師匠でもある坂上さんからの影響を強く感じさせた。思わず、あんぐりと口を開けて、「うまいなあ…」と唸ってしまった。そして、Jr.の次に私を唸らせた叩き手は、なんと、若い女性であった。
それは、長い髪を後ろで束ねた綺麗な女の子で、まだ20代かと思われるが、女性ながらパワー不足を一切感じさせず、リズムのとり方と音にキレがあり、言うなれば非常にシャープで、力任せに叩いて走ったりモタったりしている男の叩き手が多い中で、一際目を惹き、耳を惹いた。
以前、非常に上手いドラマーが、「ドラムは力じゃなくて、スピードで音を出すんだよ」と言っていた。そして、私が介護施設で働いていた時には、介護チーフがこんなことを言っていた。「『介護技術』ってことで言えば、男よりも女性の方が遥かに上手い。女性は力がない分、技術でフォローしようとするから必然的に上手くなるんだな。介護の仕事をしていて、腰をいわせるのは、圧倒的に男の方が多いんだよ」
力任せの生き方は、一見かっこよく見えるけど、リスクが伴う。特に男は、気をつけなきゃいけない。男らしさがどうのこうのと言って踊らされて、その結果、腰をいわせてたんじゃ意味がない。
今夜も私は桑田公園へ盆踊りを観に行く。本家坂上さん(オッサン!酒ばっかり飲んでんと、ちょっとはやぐらへ上がれ!)と、坂上Jr.と、あの女の子に、力任せではない音の出し方、生き方を教えてもらいにいく。それから、ついでに、ドラマーというものについても、多面的にじっくり考えてみようと思う。
日々、学習。