詩『素敵な悪夢』

誰もが快晴だと信じて疑わない空を

君は少し疑っている

僕はあの空に

一筋の雲が浮かんでいるのを見つけて

ただそれだけのことで

君を汚染する

君の理性の残骸が

五線譜の上に流れ込む

素敵な悪夢はいかが?

素敵な悪夢はいかが?

どうにでもなれ!

君の叫び声が

僕の唇を紫に染める

紫が

微かに歪む

全てが止む

君が胸を撫で下ろすたび

人と人

想いと想いがすれ違う

快晴だった窓の外

黒く濡れて

素敵な悪夢はいかが?

素敵な悪夢はいかが?

通りがかりを装って

君の家のドアを叩く

君を助けたのは誰?

君を助けたのは誰?

素敵な悪夢はいかが?

素敵な悪夢はいかが?

誰もが嵐と信じて疑わない空

君だってそうらしい

結局

その程度の女の子

僕はあの空の雲の切れ間に

一筋の光を見つけたような気がして

ただそれだけのことで

やっぱり君を汚染する


詩『祈りのかたち』

眼を閉じて食卓に着け

叶う祈りは嚥下の形

飲み込んで下へ

飲み込んで奥へ

飲み込んで底へ

飲み込んだら

飲み込むことを飲み込め

下へ下へ

奥へ奥へ

底へ底へ

底の底を突き破れば

頭は遥か雲の上

誰もいないが誰かいる

気配の中で喋りたまえ

気配の中で喚きたまえ

気配の中で唸りたまえ

急転直下 屋根に穴

待ち遠しさに笑いあり

待ち遠しさに涙あり

そこで待て

ひたすらに待て

屋根にあけたあの穴は

天使のための覗き窓

眼を閉じて食卓に着け

叶う祈りは嚥下の形


どうせたかが知れている

めちゃくちゃなことをしたいと思う。
めちゃくちゃな生き方をしたいと思う。

私は、根が臆病な人間なので、思い付く限りめちゃくちゃなことをしたところで、たかが知れてると思う。

どうせたかが知れてるんなら、やらなきゃ損だと思う。

だいたい私はおとなし過ぎる。ロックンロールスターとデカダン作家が好きな分際で。


恋もロックなイカした野郎

レノンは、ヨーコを選んで、誰にも素直に祝福してはもらえないことを良くわかっていたと思う。だからこそ、ヨーコじゃなきゃ駄目だったんじゃないかと思う。

ヨーコを選んだこと自体が、レノンの表現のひとつだったんだと思う。もちろん、死ぬほど愛していたとは思う。でも、それ以外に、レノンの中に、「表現」の要素があったんじゃないかと思う。ヨーコを選び、ヨーコを前面に押し出すことによって、クソみたいな世の中に、中指を突っ立てたんじゃないかと思う。

やることなすこと、いちいちロックなんだ、レノンという男は。

だから、大好きだ。


間違いだらけの恋愛論

「禁じられた恋ほど燃える」というのは違うと思う。別に、わざわざ禁じられなくたって、恋は恋なんだから、燃える。だって、逆に言えば、「禁じられてないから燃えない」なんて変でしょう。

好きになったら、禁じられてようが禁じられてなかろうが、もう無条件に、相手は高嶺の花なんだから、必死こいて崖をよじ登って、戦わねばならんし、「戦い」である以上は燃えるわけです。

禁じられてようが禁じられてなかろうが、全ては想いの純度の問題だと思う。純度の高い恋心は、常に苦悩を伴うだろうし、死ぬほど狂おしいだろうけれども、それでも、少なくとも、猛烈に恋してる間は、自殺なんてことは考えなくて済むだろう。

「恋してる」というのは、「もの凄く生きてる」ってことなんだから。