DJ気分で

世界最高のメロディーメーカーと言えば、そう、ポール・マッカートニーですね。

皆さんはポールの名バラードと言えばどの曲を思い浮かべますか?ミッシェル?ブラックバード?マイラブ?挙げるとキリがありませんが、おそらく、一般的には「イエスタデイ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「ポール=イエスタデイ」と思っている方が多いのではないでしょうか。

当然ながら僕もイエスタデイは大好きです。でも、一番ではありません。イエスタデイを凌ぐほど美しいメロディーを持つバラードを僕は知っています。それは、ポールの「代表作」と呼ばれる曲ではありませんし、ライヴで演奏される事もありません。『フラワーズ・イン・ザ・ダート』というアルバムの中に人知れず咲いている可憐な花のような曲です。

それでは、聴いていただきましょう。ポール・マッカートニーで「ディストラクションズ」。


減らず口の天才

伊丹に「バーカーズ」というアーティストがいる。伊丹界隈で最高の知名度を誇るブルースユニットなのだが、昨日、DABADAに遊びに行ったら、そのバーカーズさんがお店に入ってきた。

ギターのバルタンさんとは以前、ライヴで当たって顔馴染みだったので、自然な流れでボーカルのカズヤンさんに挨拶することができた。そして、バルタンさんが「交換しません?」と言ってくれたので、俺の新しいライヴ盤『DABADA TV SHOW』とバーカーズさんのアルバム『老眼鏡ブギ』(写真)を交換した。

俺「是非今度、前座でも良いんでご一緒させて下さい」

バーカーズ「いやいや、前座やなんて」

俺「勝たせてもらいますけど」

ドッと笑いが起こった。

 


DJ気分で

いや〜しかしまあ寒いですねぇ。

寒い冬には熱燗。それも「熱っ!」っていうんじゃなくて人肌。人肌のぬくもり。それはラブソングも同じです。寒い冬にラブソングで暖をとるのなら、一息つくのなら、人肌がベストです。

というわけで、一曲お送り致しましょう。

佐野元春で「天空バイク」。


俺は老人

わかっていた。自分が幸せに生きていこうと思えば、家庭と仕事と夢、三本の柱が安定していないと駄目だということを、かなり早い段階で、頭ではわかっていた。

二十代後半で家庭と仕事の為に夢を諦めたら、僅か数年で家庭も仕事も失ってしまった。三本の柱が、お互いを支え合うギアのようなもので、一つ機能しなくなれば他の二つも機能しなくなってしまうということを知らなかったからだ。

俺は、年末になるといつも言う。「クソ長い一年だった」と。仮に、ここまで、一年を倍の長さに感じて生きてきたとすると、俺は今、俺の中で82歳。少し極端だが、わかりやすく例えればそういうこと。実年齢の問題ではない。俺は人格的に老けてるんだと思う。「成熟」ではなく、ただ老けている。昔から老人だった。だから、歩く時、杖が要る。三点で身体を支えながらでないと歩けない。

俺のように無駄に年老いていない健全な大人は、二本の足があれば歩ける。家庭と仕事。この二つが安定して噛み合っていれば生きていける。

世の中には、健全な大人でもなければ、俺のような老人でもない人間がいる。彼らには家庭と仕事と夢の他にも手放せないものがある。つまり、四点で身体を支えながらでないと歩けない、ハイハイの赤ん坊。

施設で働いていた時、杖で介護士をどつき回す老人を見た事がある。健全な大人と、赤ん坊と、老人。凶器代わりになるものを肩見放さず持ち歩いているのは老人だけである。

 


パプアニューギアナ

昨年11月のライヴ以降、一度もスタジオに入っておらず、ギターすら、ほとんど弾いていない。新しいライヴ盤を制作しながら、ライヴをやる事の意味みたいなものをずっと考えていた。しまいに「ライヴ」という言葉自体が嫌になってきた。俺はまた、闘う意識の無い人たち相手に闘わねばならんのだろうか。

先日、あるお店からワンマン、もしくは自主イベントをやらないか?という話をもらった。やるとすればワンマン。が、3月中旬の開催ということで、集客力のない自分にはもう少し長めの準備期間が必要だと言って、丁重にお断りさせてもらった。お断りはしたが、この話をもらったおかげで、自分の中でこれまで入った事のないギアが入った。ワンマンをやる想定で活動を再開しようと思い立ったのである。

ワンマンをやるとすれば1時間のステージ。長時間やるつもりはない。全力で1時間、これが良い。前半と後半に分けて2時間というやり方もあるが、俺の場合は一度クールダウンしたらもうテンションを元に戻せないだろうから、1時間、ほとんど喋らずに猛烈な勢いで駆け抜ける。そして、当然の事ながら、最強のセットリストを組んで臨みたい。その為には強力な新曲をあと2、3曲作る必要がある。だから、2月になったらスタジオに戻って、新曲の制作に取り組もうと思っている。

プロ野球。各球団がシーズンオフに補強をするように、俺も補強を敢行する。そして、エースになれそうな曲を、4番に座れそうな曲を連れて帰る。

いつになるかわからないけど、ワンマンをやるとなったら何が何でも観に来て欲しい。

全力でやるから。


女王の屁

個人的に、クイーンはビジュアル系メタルバンドだと思っている。その類のハシリだと思っている。だから、日本人ウケして、俺ウケしないんだと思っている。

ビジュアル系なのはルックスを見れば一目瞭然だし、メタルなのは、あの決め事の多い完璧過ぎるアレンジと演奏を聴けば一聴瞭然。

さすがは女王。とても優雅な音楽。しかしながら、そこへ持ってきてフレディ・マーキュリーのあの風貌は一体…。貴族の格好をした北欧絶世美女の髪型がちょんまげ…みたいな感じがどうにもこうにも受け付けん。

ただ、豪華絢爛な世界の中にあって唯一アナログな、貧乏臭い存在感を放っているブライアン・メイのギターのトーンだけは好きだ。リアム(・ギャラガー)は「屁の音みたいで嫌いだ」って言ってたし、分からんでもないけど、俺は、屁など絶対にこかないであろう高貴な人がこく屁の音に魅力を感じる。

おそらく無臭…希望的観測を打ち砕くフレディ・マーキュリーの風貌。

 

 

 


忘却願望

どうもライヴをやる気がせん。というのも、ライヴの前に、皆にどうしても聴かせたいと思えるような新曲が書きたいからである。

ロックしか聴いてこなかった。でも、ロックの範疇で、ありとあらゆるものを聴いてきた。「狭い日本、そんなに急いで何処へ行く」などと言うほど日本が狭くはないように、ロックという音楽も思っている以上に多種多様で、広大な世界なのである。だから、そう、俺はなにも、ビートルズやオアシスだけを聴いてきたわけではない。が、ギターを抱えて曲を書こうとするとどうしてもメロディーがビートルズやオアシスのいる方に寄っていってしまう。しかしながら、俺が今作りたいのはビートルズでもオアシスでもないもの。なんとしても、記念すべき50曲目のオリジナルで新境地を開きたい。

ビートルズを忘れてみたい。オアシスを忘れてみたい。しかし人間は、「忘れる」ということを思うがままにコントロール、チョイスできるようにはできていないし、忘れたことを忘れてしまっては取り返しがつかないので、「忘れたフリ」で何とかするしかないのである。