覚醒2

人を好きになるということは、その人に対して、頭を下げることでも、腰を低くすることでもない。
好きだから、どうしても相手を見上げるような格好にはなるけれども、自分が、相手よりもくだらない人間というわけではない。

惚れる側の人間と、惚れられる側の人間とでは、惚れる側の人間の方が能動的で、ある種自滅的で、かっこいい。惚れて、トチ狂っている人間の方がずっとかっこいい。惚れられる側の人間は、ふっかふかのソファー的な椅子に腰掛けて、脚を組んで、葉巻をくわえて、「で?」と言っているようなもの。かくいう私も「で?」と言ったことがあるが、なにが「で?」だ。

恋する人―「で?」に媚びる中で、自分の価値がジリジリと下降していっていることに気付いたら、その恋、早々にやめるべきだ。撤退すべきだ。くっだらない。

それ以上、自分のことを嫌いになってはいけない。もう十分嫌いだろう。自分のことを好きにならせてくれる人を好きにならなきゃ。


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