防空壕から

年に何度か、訳もなく極端に気の滅入る時がある。どうやら今日がそれらしい。

ただひたすらに一点を見つめて、あぐらをかいて微動だにせず、可能な限り思考回路を停止して、酒を呑む。

地上に巨大な影を落とす爆撃機がゆったりと通り過ぎるのを防空壕の中で声を殺して待ち続けている。

今、インターホンが鳴った。

私は今、ここにはいないから、出ない。


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