密書

昨夜も夢に親父が出てきた。昨夜の親父は嫌な感じではなく、悪夢ではなかったが、内容があまりに意味あり気なので飛び起きた。

木造の小屋。黄色い裸電球が灯っている。盗賊が密談に使いそうな小屋。
親父が5、6通の封筒を私の奥さんに手渡していた。封筒には、親父の書いた手紙が入っているらしく、親父はその中から一枚の手紙を抜き取り、卓上に広げて、私の見ている前で、手紙の内容について奥さんに説明し始めた。そして、手紙を指差してこう言った。

「ここと、ここは、あえて本当のことを書かなかった」

親父も奥さんも実に穏やかな笑顔を浮かべて喋っていた。奥さんは親父の言わんとしていることをよく理解しているようだった。「やっぱりそうだったんですね」といった感じ。でも私は、見てはいけないものを見てしまったような気がして、物凄く気マズかった。


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