優しい人になりたくない

松本人志が言っていた。「女は俺を優しくない奴や思てるみたいやけど、俺に言わせたらアイツらの言う「優しい」は本来の意味の「優しい」やあらへんからね」

私は思わず「ブラボー!」と叫んでしまった。というのも、私も全く同じ考えだったからだ。

女の言う「優しい人」というのは、つまり、「当たり障りのない人」ということだ。そして、何故当たり障りのない男を求めるのかと言えば、男に社会性を求めているからで、さらには、自分に対する従順を求めているからだ。

女に「優しい人」と言われるのは簡単なことだ。自分の主義主張を圧し殺して、断言することを封印すりゃいいんだから。右か左かと訊かれた場合に「真ん中」と答えりゃいいんだから。どうせ、最終的な決断を下すのは女で、そうやって、自分に最終的な決断を委ねてくれる男のことを、女は「優しい人」と呼ぶんだから。
あと、どうしても女に「優しい人」と言われたいんなら、「嫌い」という言葉は禁句だ。女に「Aが好きかBが好きか」と尋ねられたら、これは罠だと思って間違いない。「Aが好き」と答えれば「Bは嫌い」と答えていることになるし、「Bが好き」と答えれば「Aは嫌い」と答えていることになってしまう。だから、この場合の正しい答え方はこうだ。「AもいいけどBもいいね」

「地球に優しく」的に女に優しく、不自然で曖昧なぬるい言葉を垂れ流しておけば良い。

要するに、女に「優しい人」と言われたければ、男は自分のタマキンを引きちぎって投げ棄てるくらいの気合がなきゃ駄目だ。
女に「優しい人」と言われるということは、人格的に棘がないということで、棘がないんだから社会的にも順調にやっていけるはずで、大きな出世も夢じゃない。素晴らしい。女万歳!でも、男としては完全にジ・エンドだ。

田舎、都会を問わず、そこら中に、投げ棄てられたタマキンが転がっている。


終り沿いを行く

目を覚ました時は晴天だった。「お、今日はカラっと揚がってるじゃねえか!」と思ったのも束の間、一時間もせぬうちにどんより曇ってきて、空が真っ白になってしまった。
雨は降っていない。でも暗い。寒い。気が滅入る。

ロンドンは、ほぼ一年中、こんな空模様だと聞く。にも関わらず、ロンドンから出てくるバンドの音は、昔から決して暗いものではない。どちらかというと、カラフルで明るい印象を受ける。がしかし、アメリカのバンドのように突き抜けた明るさ、カラッとした、頭の悪さの伺える明るさではなく、音の底のところに、なにやらどんよりと、暗く重いものが沈殿してうねっている。実はネクラな奴が、無理に明るく振る舞っているかのような一種の哀しさがあって、これが私には品として、知性として響いて、だから私は、アメリカのバンドなんかよりもずっとずっとイギリスのバンドの方が好きなんだろうと思う。

今日はスタジオの日だ。週に一度、私が私の好きな私になる日―蝶の日だ。今日もまたいつものように、いつにも増して、心を込めて叫び倒してやろうと思っている。

生きていると、腑に落ちないことが山ほどある。吐いて捨てるほどある。なかなかスムーズにいかない。気付けば、上手く手放せたはずの怒りと煩悶が胸中に蘇っていて、町田康の言葉を借りれば「心がぬらぬら」していることに気が付く。

私は、このぬらぬらを払拭すべく、吐き捨てるべく歌う。結局は払拭することも、吐き捨てることもできないことを重々承知の上で歌う。「重々承知の上で歌う」ことの虚しさみたいなものを噛み締めながら、それを跳ね返そうとする意志を、人に届けることができたら、その時、ロックンロールシンガーとして花丸を戴けるんだろうと思っている。

結論、私はロックンロールシンガーに向いていると思う。つまり、ステージに上がる資格があるんだな。ステージに上がる資格はある。ステージに上がる資格だけはございます。ただ、他のことについては一切資格がない。他のことについては、全て、忍耐でしかない。

ステージ上というのは、ある種の梁山泊なんじゃないか?と思う時がある。選ばれた人間が上がる場所。「選ばれた」と言っても、もちろん崇高な意味合いではない。むしろ、「自分で自分を選んだ」と言った方が正しいのかもしれない。いずれにせよ、選ばれなかった人間が上がると一瞬で潰される。
あそこでは「社会性がある」ということが、必ずしもプラスに働くとは限らない。社会性に乏しくて、その事に笑えない危機感を抱いている人間であればあるほどに輝ける場所。

あそこで勝てなかったらどこで勝つんだ?という人間だけが有する資格を、私は持っている。

あそこで負けたら、終りだ。


逢いたい人10

死ぬまでに、なにがなんでも逢ってみたい人を考えてみた。死ぬまでに、この人たち全員に逢いたい。逢って、死ぬほど旨い酒を呑みたい。

1位 原田先生(愛読者の皆さんにはお馴染みの、私の小4の時の担任。頭の切れる超絶美人。この人との出逢いがなかったら、今の私はなかった。)

2位 ビートたけし(私にとって、永遠の目標。原田先生と出逢った小4の頃から今に至るまでずっと崇拝し続けている。)

3位 松本人志(天才の中の天才。私が隠し持っている本音を嘘偽りなく話した場合に、唯一理解してくれそうな人。)

4位 川瀬智子(逢えたら奪う。奥田(旦那)から、力ずくで奪う。多少の暴力は厭わない。)

5位 リアム・ギャラガー(世界最強のヴォーカリスト。あえてめちゃくちゃ庶民的な、赤ちょうちんがぶら下がってるような、神戸三ノ宮の高架下にあるような居酒屋に連れていって朝まで呑んで、頃合いを見計らって「兄貴って呼んでもいいですか?」と言って、「YES」と言わせたい。)

6位 松坂慶子(いなたい居酒屋のカウンターで、白い着物を着た慶子さんに「お疲れさま」と言ってグラスに酒を注いでもらえたら、ヤバいと思う。もう一度言う。ヤバいと思う。)

7位 町田康(日本一、日本語を破壊するのが上手い作家。安い焼酎で朝まで喋れそう。ただ、本格的に酔っ払ったら本格的に怖そうだが、布袋寅泰はもっと怖かったようだ。)

8位 高橋真梨子(旦那さんとラヴラヴなことで有名な真梨子さん。歌っている時は実に凛としているが、旦那さんと一緒にいるときは完全に恋する乙女と化してふにゃふにゃになってしまう真梨子さん。そんな真梨子さんが旦那さんとラヴラヴでいるところを微笑ましく眺めながら、若干甘めの赤ワインを飲んでみたい。)

9位 キース・リチャーズ(酒のカッコ良い飲み方と、煙草のカッコ良い吸い方を学びたい。実際に逢ったら、本当に、笑てまうくらい色っぽい、エロいジジイなんだろうなと思う。)

10位 中川翔子(私は、酒の場でカクテル系のものを頼む女は大嫌いなのだが、翔子であれば、「女はやっぱりカクテルじゃなきゃねっ!」とかなんとか調子のいいことを言って、全面的に許してしまうと思う。)

〈番外〉太宰治(朝から二人で吐くほど呑んで、語らって、それから遊廓か何かに行って、朝、玄関で落ち合って、「しかしまあ一憩くん。女ってのは、あれだねぇ…」と頭を掻きながら呟く太宰さんを見つめてウットリしてみたい。)


好きな女性芸能人BEST10〔2011.11.19版〕

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私の女性観、美意識、美的感覚を大胆に羞恥心なく開陳するこの猥褻企画もこれで4度目か5度目かになる。前回の更新が9月8日のことだったので、約二ヶ月ぶりの更新となる。
今回も熟考に熟考を重ねたのは言うまでもないが、今回は選考するにあたって、今まで長年に渡って一位に君臨し続けてきた松坂慶子をあえてランク外とした。「ランク外」とは言っても、下落したのではない。私の中で昇天して、天女となられたのである。あの人の品、美しさはもはや人にあらず、明らかに神憑っておるので、この度めでたく、私の女性観、美意識、美的感覚を司る女神となられたのである。合掌…。
では、慶子天女の守護を受けつつ、最新のランキングを発表するといたしましょう。ちなみにこの企画、愛読者の皆さんに言わせれば「どうでもええわ!」かも知れないが、私にとってはたまの楽しみ、胸躍る企画なのである。
今日は雨降りで、心が幾分沈みがちなので、あえてこのタイミングでこの企画を持ってきたというわけです。
さ、前置きはこれくらいにして、発表いたしましょう。発表!

※カッコ内は前回の順位。

1位(2)川瀬智子(Tommy february6)
2位(3)川瀬智子(Tommy heavenly6)
3位(5)中川翔子
4位(―)川瀬智子(the brilliant green)
5位(7)木村カエラ
6位(8)akko(MY LITTLE LOVER)
7位(6)たかはし智秋
8位(9)戸川純
9位(再浮上)高橋真梨子
10位(再浮上)アヴリル・ラウ゛ィーン

数年前からトミーさんを見ない。トミー・フェブラリーと、トミー・ヘブンリーのベスト盤を出して、これが結構売れて、それからブリリアントグリーンに戻ってアルバムを出したが全く話題に上らず、その直後に完全に活動を停止してしまった。帰ってきて欲しい。私の為に。私だけの為にっ!


一人酒の楽しみ方2

狭い店内。座敷を占めていたオッサン連中が帰って、客は私と、くたびれた若い兄ちゃんと、そのくたびれた若い兄ちゃんのごっついごっつい綺麗な彼女がカウンターに残るのみとなった。

ボクシングで言うところの「ジャブ」的にじわじわ効いてくる屈辱感。

「俺にも彼女おりまっせえー!」叫ぼうとした瞬間、マスターがこう言った。「アンタら兄妹、ホンマ仲ええなあ」

タライが一つ、私の頭上に落ちてきた。


一人酒の楽しみ方

扉がガタガタと開いて、いかにも真面目そうな、センター分けの、くたびれた感じの、私より5つほど年下かと思われる兄ちゃんが入ってきた。

マスターが「お二人で?」と言ったので、私は、くたびれた兄ちゃんの後に入ってくる人間はたぶん、くたびれた兄ちゃんのくたびれた彼女か何かだろうと思って、興味津々、眺めていた。

ごっついごっつい美人が満面の笑みで入ってきた。

自分の身体がチョロQ並みに縮むのを感じた。


コメントへの返信〜KNIGHT様宛

まさに、Jr.さんのおっしゃる通りで、「他人から評価されてる」という感覚があれば、張り合いも出るし、頑張ろうという気にもなれると思います。あえて二度言いますが、「他人から評価されてる」という感覚があれば、張り合いも出るし、頑張ろうという気にもなれると思います。何故あえて二度言ったのか、Jr.さんなら察してくださると思います。

あと、これは以前、Jr.さんとお酒をご一緒していただいた時にも感じたことなのですが、Jr.さんは気の合う、楽しい同僚さんたちに恵まれておられるようですね。仕事の後、皆さんでお酒を飲みに行かれたり。それも、張り合いとやる気を掻き立てる重要な、ひょっとしたら最大の要素だと思います。

僕は今日、忍耐が終わったら、一人で飲みにいくつもりです。あえて二度言いますが、一人で飲みにいくつもりです。何故あえて二度言ったのか、Jr.さんなら察してくださると思います(笑)


死体遊戯

あの男は、来る日も来る日も嫌味な言葉を浴びせかけている。あの女は、完無視をきめ込んで、目さえ合わせようとしない。

端から見ていると面白い。

あの男が嫌味な言葉を浴びせかけているのも、あの女が完無視をきめ込んでいるのも、物言わぬ死体に対してだからだ。

私は、ずっと生きているわけではない。