GSワンダーランド

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私の愛聴盤「ザ・GSベストセレクション赤盤」。私のような熱烈なGSファンにとってはまさに宝物。珠玉の如き2枚組アルバムなのである。

ジャッキー吉川とブルーコメッツ、ザ・タイガース、ザ・スパイダース、ザ・ジャガーズ、ザ・テンプターズあたりまでなら皆さんもよくご存知だとは思うが、ザ・カーナビーツ、ザ・ゴールデンカップス、ジ・オックス、モップス、ザ・ダイナマイツあたりから徐々に雲行きが怪しくなってきて、ザ・ライオンズ、ザ・ワンダース、ザ・ヤンガーズ、ジ・エドワーズ、ザ・ホワイト・キックス、ザ・ハーフ・ブリード、ザ・シェリーズに至ってはヤバい領域。ウルトラマニアック。誰も知らないと思う。

GSバンドの大半は、ロックのなんたるかを全くわかっていない。ビートルズやストーンズの音楽をどういった角度からどう聴いたらそう聴こえてこうなるのか理解に窮するほどにダサい。が、相当にダサいことをやっているにも関わらず、相当にダサいことをやっているという自覚がびた一文なく、実に溌剌嬉々としてやっているところにGSの魅力があるんだと思うし、こと音に関して言えば(特にドラム)、古今東西、どこを探してもGSバンドが鳴らした音を超えるものはないと、私は思っている。

また、GSバンドの中には、今聴いても全く古さやダサさを感じさせない、彼らが昭和丸出しの日本人であることを思えば脅威的突然変異だとしか思えないバンドもいくつかいて、これらはもう本当に文句の付けようがない。完全に本物なのである。ザ・カーナビーツ、ザ・ゴールデンカップス、モップス、ザ・ダイナマイツやなんかがそうで、本当にカッコいい。それもそのはずで、カーナビーツには「日本のキース・ムーン」と呼ばれた、私にとってのGSアイドル、アイ高野が在籍していたし、ゴールデンカップスにはゴダイゴでお馴染みのミッキー吉野と、後にチャーとピンククラウドを結成する「リードベース」ルイズルイス加部、モップスには鈴木ヒロミツと、井上陽水のプロデューサーとして有名な星勝、ダイナマイツには村八分の山口富士夫が在籍していたのである。

ところで、もし私があの時代に18才とか19才とかだったら、間違いなくGSバンドをやっていたと思う。バンド名は、ザ・パンチ。パンチパーマの私が、「チャッチャチャ〜ッス」と言いながらドヤ顔でステージに立ち、ただひたすらに甘いだけのラブソングをキリキリと歌い上げ始めると、他のメンバーが「お願いだから死んで〜」とコーラスを入れてきて、たまに白目を剥いたギタリストがギターを振り回して私に殴りかかってきて間違えてベーシストを撲殺したり、ドラマーが異様に先の尖ったスティックで地味に私を刺し殺そうとしたりするのである。デビュー曲は「お花畑で逝きましょう」

絶対に売れないと思う。


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