俺が生まれ育った伊丹最北端。
俺が子供の頃は、近所に同じような年頃の子供がいっぱいいて、少し声をかければ20人〜30人はすぐに寄ってきて、大きな山の遊具がある桑田公園という公園で陽が沈むまで遊んだ。そして、夕方になるとそこら中の家から晩ごはんのいい匂いが漂ってきて、その匂いを合図のようにして、「俺、帰るわ」「私、帰るわ」と、一人また一人と家に帰っていって、公園はその日その日の役目を終えた。
夏になり、盆踊りともなると、夜というものに興奮しきった子供が走り回って、大人は大人で子供のような顔をして笑っていた。
気付けばあれから、あの風景から、もの凄く遠ざかった場所に自分はいる。周りを見渡せば疲れきって、常にイライラしていて、お互いに監視し合っているかのような目の泳がせ方をした大人が無闇に地面に影を落として、自分の落とす影に見入っている。
ものすごく優しい人が現れて、ものすごく優しい目で、ものすごく優しい声をかけながら背中をポンと叩けば、みんな、泣き崩れるんだろうなと思う。
救いの手
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