「一度も病気になったことのない人間は友人にするに値しない」というのは昔から語り継がれている古人の言葉。そして、一大モンゴル帝国を築き上げたジンギスカンは、将軍の役職を決める際、「部下の気持ちがわからないから」という理由から、あえて屈強で勇敢な者は選ばなかったらしい。
巷には「強くならねば」的メッセージの歌が溢れかえっているが、強くなって一体どうしようというのか。皆がその弊害についてろくに考えようともせず、ただ周りに流されるように盲目的に強くなろう、強くなろうとする中で、弱い人間は一体誰に胸の内を明かせばいいのだろう。
弱い人間にはただただ話を聞いてほしい時というのがある。ただただ笑顔で頷いて欲しい時というのがある。そんな時に反論や説教は要らない。でも強い人間はとりあえず何か喋ろうとする。弱い人間に有難い言葉を恵んでやろうとする。酷い時には「しっかりせえ!」なんて怒鳴ったりもする。かくして、弱い人間は黙ることを覚える。吐きだすべきものを吐きだすべきタイミングで吐きだせない日々が続いて、本当にどうしようもないところまで追い込まれていく。死ぬほど辛い。
弱い人間が強い人間の顎に一発ぶちかます方法もあるにはある。が、ぶちかました後、うずくまった強い人間が目の当たりにするのは弱い人間の死体だ。
薔薇
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