俺は自分の名前「一憩」の「憩」の一字にあまりに忠実に生き過ぎた。あまりに危機感なく楽天的に、ことあるごとに「何とかなる」と心の中で呟いては笑って、ちんたらちんたらちんちんちんと生きてきた。
で、何ともならなかった。
「憩」という字にはもう一つの意味。人を、友人たちを憩わせるって意味もあるだろうなんてことも心密かに思って生きてきた。実に夢のある蒼い発想。「俺といる間は現実のことを忘れさせてやる!」なんて思って生きてきた。
が、忘れさせてやるどころか、思い出させてばかりいる自分が今ここにいる。
取り返しがつかないくらいいろんな事を、確実に着実に失敗してきてしまった。情けない。
俺には友人と呼べる人間が少なからず、いる。決して少なくはないと思う。でも俺はそんな友人たちに対する自分の「売り」的なものを見失ってしまった。ひょっとしたら抜本的に失ってしまっているのかもしれないし、ただどこに置いたのかを忘れてしまっているだけなのかもしれない。とにかく、気が付けば手元になかった。いや、元々なかったのかもしれない...。
自分がどこにいて、どこに向かおうとしているのかがさっぱりわからない。自分の立ち位置がわからず、自分の願望がわからない。ただ一つだけ、明確にわかっているのは、かつての自分がどこに向かいたいと思っていたのかという記憶と感覚だけだ。
過去に目がいく―男として、もの作りとして本気に最低だと思う。
蒼き狼、認知の男
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