商店街の片隅。ベンチがちょこっとだけ並んでいる、ちょっとした憩いの場に、昼間っから泥酔している見るからに自暴自棄なオッサンがいて、手元のワンカップの空き瓶を次々に地面に叩きつけては、無言、虚ろな表情を浮かべていた。
キャリーン。キャリーン。瓶の割れる音が商店街のアーケードに反射、共鳴、鳴り響いて、オッサンがやっていること自体は最低なのだが、音そのものは何故かなかなかに美しくて、俺なんかは「この音、サンプリングとかしたらええ感じになるんやろな」などと思っていたのだが、5分もせぬ内に警官がやってきてオッサンを捕獲。オッサンの前衛芸術は前衛過ぎるがゆえに誰にも理解されぬまま、日本一長い商店街の虚空へ葬り去られたのであった。
オッサン・プリング
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