人間社会には暗黙の了解的なルールが数限りなくあって、ありとあらゆることに「こうじゃなきゃいけない」みたいなのがあって、そこを少しでも、少しの期間でも逸脱すると待ってましたとばかりに大勢の人間が突然立ち止まり、首を反転させて、その「裏切り者」のもとに駆け寄っていって取り囲んで口々に説教をする。
強い口調だったり、柔らかい口調だったり、人によって口調こそ違うが、それが説教であることに変わりはないし、みな基本的に同じことを言っている。
説教の内容は、早い話が「我々は我慢してるのに何故お前は我慢せんのか」だ。
学生時代、部活を休むと翌日必ず「なんで昨日来えへんかってん」なんて廊下などで同じクラブの奴に会う度に言われたが、俺はあれが、あの言葉が全く理解出来なくて不快で、中学高校と帰宅部で通したのだが、あの「なんで昨日来えへんかってん」だって、意味的には「我々は我慢してるのに何故お前は我慢せんのか」ってことで、俺はいつも「お前はそれを好き好んでやってるんじゃないのか?好き好んでやってることに道連れが要るのか?それじゃただの連れションじゃねえか」とか、「嫌ならやめりゃいいじゃねえか」とか思っていた。
大人になった今でも同じような場面にしょっちゅうでくわすし、その度あの時と同じような感想を抱く。
不特定多数の人間に認めてもらうのと引き換えに我慢してるんなら、それはおのれが好き好んで選んだ道なんだから道連れを求めるような真似をするな。放っといてくれ。俺はお前と並んでションベンしながら小声で誰かの陰口を叩くなんてのはまっぴらごめんだ。
俺は社会人としてイケてるとか、男らしいとか女らしいとか、そんなのはもう本当にどうでもいい。「自分らしい」ってのが一番で、自分らしさを求めて生きることが、くだらない暗黙の了解の外にあって、悪役として振る舞わねばならんのなら、いくらでも振る舞ってやろうと思う。
映画でもプロレスでもヒールがいなきゃ観てて面白くもなんともないだろうし、ヒールは極悪であればあるほど面白いってもんだろう。
ウルトラマンに「悪役になりたいです」と言わせたり、越乃歓梅の女将に「生きることに他人の承諾なんていらない」と語らせたのは誰か。
俺だ。
タイガージェット芯
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