病院でもらった薬を飲みながら、わけのわからないタイミングで眠たくなって寝る。という休職後2ヶ月の生活は、それでもまだマシだった。何が問題なのか。何が問題で自分はこうなったのかを自分は本当はわかっていたが、それを見て見ぬフリをすることができた。が、家人の目を盗んでは酒を呑んでいたし、それがバレたりなどもしていたが、そうなると今度は妙な知恵がついて、やはり酒が絶てないでいた。それでも、本当の問題と直面していない分、まだマシだった。
6月に入るとすぐ、普段なかなか会うことを許されない両親と神戸の新長田で会うことになり、夜になると、昔、俺がまだ幼稚園児の頃に、親父を迎えに行っていた王子公園にあるとある居酒屋で呑んだ(両親にはアルコール依存性のことは内緒にしていた)。ここで俺は酔った勢いもあり、神戸在住の旧友を呼び出した。彼は数年前に俺と俺の家族に対して決してしてはいけないことをしたので、それ以来、長いこと顔を合わせてなかったが、最近、彼の父親が亡くなったこともあり、情が移り、一度だけ謝るチャンスをやろうと思った。で、やって来た彼に「謝れ」と言った。が、彼はちゃんとあやまらなかった。頭にきた俺は何度も何度も「謝れ」と言った。が、彼はちゃんと謝らなかった。気付けば俺は手をつけられない勢いで号泣していて、親父に身体を支えられながら店を出て、大阪ではなく、地元の伊丹に帰ることになった。
実録『インナーチャイルド』〈2〉
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