「インナーチャイルド」は例えば人間の創造力をも司っているものらしい。だから俺は伊丹に帰ってくるやいなや、気付けば気が狂ったように絵を描き始めたんだろう。内なる子供を解放させようとして描き始めたんだろうと思う。あの「阿仁真里」だってたぶんそういうことだ。
ところで、先日、病院でカウンセリングを受けた。カウンセリングの内容はいわゆる心理テストで、テーブルの上に1M四方くらいの大きさの白い砂の入った木箱があって、その横の棚に小さな人形やら、ミニチュアのキッチンやら、時計やらとにかくありとあらゆる小物があって、これを自由に形を変えた砂の上に、好きなものを好きなように置いていくというものだった。で、俺は迷いなく棚から野球のボールくらいの大きさのガラス玉だけを手に取ると、箱の中の白い砂を全て箱の真ん中にかき集めて(砂を退けると、箱の底の色はブルーで、俺は水、砂の山を取り囲む「外堀」をイメージした)山にしたものの頂にポンと置いて「できました」と言った。そして「タイトルは?」との問いに「こわれもの」と答えて、「この時、あなたはどこにいますか?」との問いに「箱の周りをぐるぐる歩いてます」と答えて、「テーマは何ですか?」との問いに「崇高」と答えた。最後の問いに関しては「純粋」でも良かったと思う。とにかく、このテストで俺が表現しようとしたものも、ひょっとしたら内なる子供だったんじゃないかと思っている。
テスト中、「壊されたくない」と強烈に思っていたから。
実録『インナーチャイルド』〈6〉
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