日本人ってのは本当に「自己犠牲」ってのが好きだな。ストレートに「自分がやりたかったからやりました」って言やあ潔くて立派なのに、行動や言動のどっかに必ず自己犠牲的なニュアンスをくっつけて、「これ、絶対に忘れないでくださいね。あと、お返し。楽しみにしております」みたいなことを目で訴えてきよりますな。困ったもんだ。
本来は凄いことだと思う。清い自己犠牲はそれこそ「崇高」とも呼べるくらいのもんだと思う。でも、コンビニに並んでいる感じ、庶民にも手が届く感じのお手軽で使い捨て可能な自己犠牲は崇高の真逆をゆく愚の骨頂だと思う。
恩着せがましい。見返りを求める。何か不都合なことが起こるとすぐに人のせいにする。最終的な局面において絶対に負けず、同時に相手を負かすことのできる強力な「陣形」としての自己犠牲。
口論になった際には印籠としての効果をも発揮する自己犠牲。常に胸ポケットに入れて持ち歩いている。使い方は簡単。ここぞというタイミングで胸ポケットから火のつく勢いで素早く取り出して、相手の顔にブチ当たる勢いで見せ付けて、一言「おわかり?」と涼しい声で言い、どや顔をすれば完了。かくして全戦全勝...の、つもり。最低でしょう。
でも、ま、便利は便利なんだろう。よっぽど便利なんだろう。安価な割りにはめちゃくちゃ便利なんだろう。だからこんなにも普及したんだろうし、もう十分普及しているにも関わらず、そんな社会情勢や需要と供給の仕組みなんかを一切無視してまでも、さらに人に奨めたくなるんだろう。「こんな便利な物を独り占めしてたんじゃバチが当たるんじゃないかしら」とかなんとか、商店街でネギの突き刺さった買い物かごをぶら下げながらふと立ち止まって呟いて、「善は急げ。だって私は伝道師」などと訳の分からない気違い染みた言葉をまたぞろ呟いて、面識のない、全然知らない人の家の前に立ち止まりインターホンをピンポーンと鳴らして「あのね、これね、めちゃくちゃ便利なんでござあすよ」なんて宣伝して廻るんだろう。間抜けにも程がある。宗教の勧誘か。そんなくだらないものを人に奨めるんじゃねえよ。だいたいアンタは何なんだ?誰なんだ?俺はアンタを知らない。人の昼寝の邪魔をするな。無闇やたらに人の家のインターホン鳴らすんじゃねえよ馬鹿野郎。言っとくけどさ、アンタさ、そういうのを「強要」っていうんだよ。俺はそんなくだらないものいらねえよ。さっきから何度も言ってるだろう。お、れ、は、い、り、ま、せ、ん。
お引き取りください。
いらないものはいらない
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