一番夢のある想像、物語はSGとコスモスが大親友だという設定だと思う。
SGはいかに妖艶であろうが、男(時には女をも)を自由自在に翻弄できようが、基本的にはただの売れないバンドマンであるから、その日のライブの出来によっては大いにヘコむこともある。周りが「良かったです!」と誉め称えたところで、本人が駄目だったと思えばそれは駄目で、周りの安易な称賛は彼女の傷口を広げるばかり。そんな時に、夜、彼女がギターを抱えてアポ無しで訪れるのが、大学生が多く住んでいそうな白いマンションの4階の一室、コスモスの家だったりして、インターホンを押すと、SGの心境を察したようにコスモスが笑顔で出てきて「よっ!」と言う。SGは覇気なく「よっ..」と答える。SGはギターを玄関脇に置いて、狭いながら綺麗に整頓されてある部屋の中央に置いてある白い丸テーブルの所で腰を降ろし、テーブルの上に丸眼鏡を置いて深くため息をつく。そこへコスモスが冷蔵庫からキンキンに冷えたサッポロ黒ラベルを2本持ってきてテーブルの上に置き、何も言わずにSGの背中をポンと叩く。「かんぱ〜い!」とコスモス。「乾杯..」とSG。
ちょっとした沈黙の後、SGが呟く。「今日は、全然、アカンかったわ..」コスモスは「ま、そんな日もあるって」と言ってから「今夜は大いに飲みませう!」とSGにビールをすすめる。グビグビグビっとSG。
時は経ち、テーブル上には空き缶が散乱。午前0時を回った頃には、二人とも顔を真っ赤にして笑顔で、いつのまにやら会話の内容が昨夜のライブの話からお互いの恋愛観に関する話に移行しており、こうなると今度は立場が一転して、コスモスがあれやこれやとSGに対して敬意をもって相談を投げ掛けており、SGはあぐらをかいて的確に「それはね」と、それぞれの問いに答え続けている。
翌日、二人とも休み。仕事、休み。コスモスは元々休みだったが、SGは職場に連絡を入れて「熱が出まして..」と仮病。15時くらいまで向かい酒などたしなみつつのんびり過ごし、化粧などを済ませ、女として万全の準備を整えてから快活に街に買い物に出掛ける。と、それぞれのファッション、化粧具合、身長差、オーラから、周りの目にはどう見てもSGが姉貴分でコスモスが妹分的な存在に見える。実際、買い物中もコスモスが「これどう?」とSGに尋ねるシーンが多々見られる。でも、コスモスがどう考えているかは別として、SGはよくわかっている。コスモスは自分にとってかけがえのない大親友で、コスモスの前でだけは自分は仮面を外せて、もっと言えば、コスモスは自分にとって母親的な存在でもあるんだということを。
まだまだ明るい夏の夕方、二人は買い物袋を下げて、ソフトクリームを食べながら帰途に着く。二人の影が二人の後ろに長〜く伸びており、その上を老人施設のバスがゆく。
物語〜『小悪魔SG』と『コスモス』
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表情、性格。豊かな作品。
さすがは顔色に怯えてきたと、自分自身で観察してますね。
ごめんなさい。だから描く事ができる。才能です。
私は、人の顔や言葉が頭に入らないから。
私の場合は、動きを見て覚えるのだと思う。
意外は同時には出来ないのだ。
私の場合はクセや感情観察なのだと思う。
弱点は、長所なのです。補う為に身に付いた才能だろと、勝手に解釈してます。
とにかく才能です。