一昨日の夜、俺の絵『受容』を欲しいと言ってくれた友人の家で夕食をご馳走になった。俺は夕食をご馳走してもらうお礼として絵を譲ることにし、彼の家を訪れた。
彼には4歳になる息子がいるのだが、俺が家に招き入れられ、席に着くやいなや、俺の曲が収録されているMDを持ってきてかけてくれた。心から照れた。そして心から嬉しかったし、何より彼のその行動に腰を抜かすほど驚かされた。「バンドマンロック」、「カナリア」など、俺自身長いこと聴いていない自分の曲、声が夕暮れ時の友人の家に鳴り響いて、俺はしみじみそれを聴いた。大昔の友人にばったり会ったような感覚だった。台所では友人の美しい奥さんが夕食の準備をしてくれていた。
俺は気分が高揚して、まるで自分自身が自分の手から離れたように、堰を切ったように、機関銃のように喋りまくった。
そして、夜も更け宴もたけなわといった感じになった頃、友人が一瞬姿を消した。俺はトイレにでも行ったんだろうと思っていた。
数分後、「いっけさん、これ要る?」と友人の声がして、彼の方を見ると、彼がギターを持って立っていた。「え!?」俺は一瞬自分の耳を疑ったが、彼は「絵のお礼に」と言って、俺にそのギターをくれた。
久しぶりにギターを触った。俺の好きな、ペグが左右に分かれて付いているタイプの、「By Takamine」と書いてある、薄型ボディのエレアコ。気が狂うんじゃないかというくらい嬉しくて、俺は彼と彼の家族への心からの感謝の印としてリクエストに応える形で、「バンドマン・ロック」を演奏した。皆さん、本当に嬉しそうに聴いてくれて、俺は久しぶりに足の先から頭のてっぺんまで、喜びと、今や懐かしくさえある自信らしきものの暖かさでいっぱいになった。
さらに夜は更けて、友人宅での楽しい宴が終わると、友人はギターをチャリンコの荷台に載せ、俺を家まで送ってくれた。帰宅すると、俺は友人を自分の部屋に招き入れた。友人は朝方まで、俺の自作の絵に関する長い長い話に付き合ってくれ、午前3時頃「じゃ、帰るわ」と言って笑顔で帰っていった。
なんちゅう奴やと思った。凄い奴やと思った。俺にはもったいない人間だと思った。彼とは中学の時に知り合って以来の友人だが、彼を俺の人生に引き合わせてくれた神様に心から感謝した。
「日々これ奇跡の連続である」最近疑い始めていた、俺の昔からの信念が息を吹きかえすのを自分の中に感じて、泣けてくる。
ありがとう。
奇跡のかたち
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嬉しくブログを拝見してます。
私の言葉は、威圧的になるので意見をすることは、恐さを感じてます。
今日のブログを見て、うれしいです。
私も二人の関わりに感謝感激します。
ありがとうございます。