昔から「善良な市民」という言葉にゾッとする。
世の中には決して悪人ではないし、いわゆる「犯罪」こそ犯さないけれども、暖かい想像力や冷静な判断力みたいなものが絶望的に欠如していて、外からの情報を鵜呑みにして、それを感情に直結させてしまう人間というのが大勢いる。
もし、こういう人たちが人を裁く立場に立ったら、ロクなことにならないのは目に見えている。だから、例えば俺は個人的には裁判員制度というものに反対だったりする。
情報を受け取ってから結論を出すに至るまでの間に、いくつかの筋書きを自分なりに推測したり、仮定したりすることのできない人間が、情報に対して一切疑いを持たず鵜呑みにして、感情的に結論を出して、人を裁いたらどうなるのか。
俺が言いたいのは別に裁判員制度という社会的なテーマについてではなくて、もっともっと身近なことについて。人間、生きていれば日常的に人を裁いたり人から裁かれたりしているわけで、それはもちろん俺やアナタも例外じゃないわけで...想像力のない人間は有害だとさえ思う。感情に走って結論付けてしまった後の人間にいかに切実丁寧に、慎重に言葉を選んで事情を説明したところで手遅れ。「見苦しい言い訳は止しなさい」などと一喝されて終わりだろう。彼にはもはや「説明」と「言い訳」の区別さえつかないんだから。だから俺は、そんな人種には出来る限り近付きたくない、関わりを持ちたくない。
本当に怖いのです。
サバキ
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