だいぶ前に書いたことだが、俺は介護の仕事をしていた時、自分の右腕と左腕を尊敬する2人の女性介護士の名前で呼んでいた。
俺の利き腕であり、左腕より太く力仕事に向いている右腕を「村本さん」と呼び、利き腕ではないが、携帯を打ったり、ギターを弾いたりと、繊細なことをする際に活躍する左腕を「西山さん」と呼んでいた。村本さんは介護の学校の先生で、西山さんは現場における大先輩だった。体格的には対称的で、村本さんが大柄でがっちりしているのに対して、西山さんは小柄で細かった。
昨日描いた『ムーラン・ルージュ』という絵で、俺の無意識層から姿を現したのは西山さんだった。本当に良く似ている。もちろん、頭のてっぺんで髪を束ねているなんてことはなかったし、こんな感じの眼鏡も掛けてなかったが、この2点を除けて見ればこれはもう何とも言えず西山さんなのである。
有難い人が出てきてくれたもんだなあと思う。この部屋に西山さんがいて、しかも笑顔でいてくれてはるというのは実に心強いし、嬉しい。
たかが絵。されど絵。俺は『ムーラン・ルージュ』に足を向けては眠れない。部屋の中に、もの言わぬ頭の上がらない人がいるというのは何とも楽しい話だ。
ちなみに『ムーラン・ルージュ』というのはフランス語で「赤い風車」という意味で、ロートレックという画家がしょっちゅう訪れては絵を描いたという、大昔から営業している有名なキャバレーの名前らしい。
「赤い風車」そして「キャバレー」。現場を小走りに走り回り、目がギラギラしていて睫毛が長く、オーラ的に派手な感じのした西山さんにぴったりだと思う。
ムーラン・ルージュで逢いましょう。
ムーラン・ルージュで逢いましょう
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