大阪在住のうたうたい&絵描き&詩人 和田一憩(わだいっけい)のブログです。最新情報も随時配信していますので要チェック!!です。 携帯サイトはコチラ

わかりたくない

「人生、何が起こるかわからない」って言える人が羨ましい。この言葉は未来に対して希望を抱けてる人が言う言葉だ。

例えば会話。俺は昔から自分の発言に相手がどう反応するのかを先読みしようとする癖があって、どうやらその精度的なものは年々上がっていってるらしく、最近では喋る前に相手がどう反応するのかがわかってしまって、喋るのをやめるという癖がついてしまった。だから「言うてくれんとわからへん」と言われた場合にとても困る。言ったらどうなるのかはわかっている。たぶんロクなことにならないだろうと思う。でも読みが外れてくれることを期待して喋ってみる。が、やはり読みは当たる。喋らなきゃ良かったと思う。このパターンを繰り返す中で、本音は喋らずに胸中にしまい込むようになった。そして、しまい込んだものを音楽や絵や文章で吐き出すようになった。

心理療法の分野では、この「吐き出す」という行為を『浄化』という。吐き出すということをしないと、言葉が、意思が、想像が自分の中で沈殿してそのうち腐ってしまう。俺の場合、その腐ったものの塊が一つの思想と化してしまった。何もかもが予定調和だという思想が自分の中に深く根付いてしまった。「人生、何が起こるかわからない」の真逆にある思想だ。

たぶんこうなるだろうと思う。と、ものの見事にその通りになる。それもその読みがネガティブなものであればあるほど当たる。楽しい偶然、嬉しい偶然、予想外の喜びというものが自分とは無縁なんじゃないか?と思うようになって、そうなると日々の営みはもう、工場のライン作業を思わせるルーティンワーク的なものに感じられてくる。

人生、何が起こるかだいたいわかる。厳密に言うと俺は別に占い師じゃないんだから、わかるわけがないんだけど、わかるような気がするということ自体が精神衛生上良くないことだ。

映画を観ていて、前半で結末がわかる不快感。小説を読んでいて半分まで読まないうちに結末がわかる不快感。映画館に行って、チケットを買うと同時に、映画館から出てきた奴が結末を口にし、それを聞いてしまった時の不快感。

何事もある程度の先読みをしてからでないと不安だ。でも、先読みが度を越すと未来に何の楽しみも期待できなくなる。

何が出てくるのかわからない。全く結末が読めない。絵を描いている時は楽しい。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://ikkei.me/mt/mt-tb.cgi/985

コメントする

プロフィール

いっけい

ビートルズ好きの両親の元、ビートルズを子守唄に育ち物心が付く前から音楽に慣れ親しむ。
学生時代からいくつかのバンドを結成し関西を中心にライブに明け暮れる。
現在はソロでの音楽活動に加えイラストも手掛けるマルチアーティストとして活動の幅を広げている。

いっけいの楽曲が聴ける!! MySpaceはこちら

2010年9月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30