大阪在住のうたうたい&絵描き&詩人 和田一憩(わだいっけい)のブログです。最新情報も随時配信していますので要チェック!!です。 携帯サイトはコチラ

人がうちに遊びにきたとして、冷蔵庫の中を見られることくらい恥ずかしいものはないでしょ?トイレは恥ずかしくないのに、冷蔵庫は恥ずかしい。本当は、トイレを見られることの方が恥ずかしいことのはずなのに、実際は、冷蔵庫の中を見られることの方がずっと恥ずかしい。だから、逆に、人の家に招かれた時にも、冷蔵庫の中が見えそうになったら、それは見てはいけないもの、サッと視線を逸らす。

今から書く文章は、俺が、俺だからゆえに体験し続けた、「会話」というものについての話。





俺は、自分で言うのも何だけど、料理人としてはなかなかの腕前だという自負があった。で、厨房に立ち、腕捲りをして、「よし!」と自らに一喝すると、クルリ体を反転、ちょうど自分の真後ろにある冷蔵庫のドアの取手に手を掛けて、恐る恐る開ける。が、何も、本当に何も入ってなくて、呆然として、立ち尽くした。

そこへ、ある料理人がやってきて、「チッ!」と舌打ち、俺を厨房の隅へドンと押し退けて、厨房を占拠した。そして、やはり腕捲りをしてから、先程の冷蔵庫を勢いよく開ける。と、そこには、あれぇっ!?膨大な量の食材が溢れんばかりに詰まっていて、料理人はどや顔を浮かべつつ食材を選び、テキパキと調理し始めた。

俺は黙ってエプロンを脱ぎ、腕捲りを解き、背中を丸めてトボトボ歩き、食卓についた。

どや顔料理人が自信満々に次から次へと料理を運んできた。俺は、自分が何も拵えられなかった羞恥心から、出されるものを、出された順に、出されるがままに食べた。





いつもいつも不味かったが、いつもいつも「旨い」と言った。

人間が人間を産む。当たり前だ。人間が犬を産むところを見たことがないし、犬が象を産むところも見たことがないし、象が蟻を産むところも見たことがない。

臆病が臆病を産む。怠惰が怠惰を産む。秘密が秘密を産む。だから、要するに、例えば臆病が嫌なら、臆病を自分の中から完全に根絶してしまわないといけないということだ。もし、一匹でも見逃してしまったら、その一匹が、あっという間に増殖の起点になってしまう。

俺の場合は、何度も言っているように、やはり、『妥協』。これが一番の問題だ。とにかく、救い難いくらい、絶えず妥協を繰り返しながら生きてきた。妥協中毒。やることなすこと全てに妥協があって、これが蛇のように俺の身体に巻き付いて、蛇が蛇を産んで、完全に身動きがとれなくなってしまった。

とにかく、俺の身体から妥協という妥協を完全に根絶してしまわないといけない。今後、どういった方向に進むにせよ、そして、そこで何をどうするにせよ、まずはこれから始めないと話にならない。でも、これは、この自分で自分に施す大手術は、かのブラック・ジャック先生でも難しいかと思われる。

でも、やらなきゃならないものはやらなきゃならない。手拭いに「玉砕」とだけ書いて頭に巻いて、「南無三!」とか、「ええいままよ!」とか、「死なばもろとも!」とか喚きながら、とりあえず実行に移さなきゃならない。





メス!

朝日が昇るから 起きるんじゃなくて

目覚める時だから 旅をする

教えられぬものに 別れを告げて

届かないものを 身近に感じて

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

嵐の中に 人の姿を見たら

消えいる様な 叫びをきこう

わかり合うよりは たしかめ合う事だ

季節のめぐる中で 今日をたしかめる

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

あの人のための 自分などと言わず

あの人のために 去り行く事だ

空を飛ぶ事よりは 地をはうために

口を閉ざすんだ 臆病者として

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

おそすぎる事はない 早すぎる冬よりも

始発電車は行け 風を切ってすすめ

目の前のコップの水を ひと息にのみほせば

傷もいえるし それからでも おそくない

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

今はまだまだ 人生を語らず

目の前にも まだ道はなし

越えるものはすべて 手さぐりの中で

見知らぬ旅人に 夢よ多かれ

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

越えて行け そこを

越えて行け それを

今はまだ 人生を 人生を語らず

「これ見て」とか、「これ読んで」とか、「これ聴いて」とか言って、姿は見えないけれど、俺の手をひいて、俺に何かを教えよう、気付かせようとしてくれてる存在を感じる。





〈1〉数ヵ月前。それこそ大阪にいた時分から、俺はなぜか無性に吉田拓郎を聴きたいと思っていた。で、つい先日、うちに「本」と、マジックで書かれた段ボール箱を発見。開けてみたら、芥川龍之介やら、ドストエフスキーやら、ニーチェやら、とにかく、いっぱい本が出てきた。俺の親父と、親父の亡くなった妹さんが昔読んでいた本の数々らしいのだが、俺の目は、その中の2冊の本に被せられた、手作りのブックカバーに止まった。雑誌のページを切り取って拵えたらしいブックカバーで、このブックカバーにある写真が、若かりし日の吉田拓郎だったのである。亡くなった親父の妹さんは吉田拓郎の大ファンだったらしいのだ。

これは明らかに「聴いてみたら?」ということなんだろうと思って、今日、近所のレンタル屋で3枚組のCDを借りてきた。

本当に素晴らしい。かっこいい。特に「人生を語らず」とか、「知識」とかは筆舌し難く素晴らしい。

俺は今まで、太宰治の文学も、吉田拓郎の音楽も、ロクに知らずに生きてきたんだなと思って、それを、自分の人格や夢に照らし合わせて考えると、「そらアカンわな...」と思った。





〈2〉最近、これまでブログに書いてきた文章の中でも、特に気に入ってるものをいくつか厳選して、普通のノートじゃなくて、「何も書いていない本」みたいなしっかりしたものに、書き纏めてみようというアイデアが自分の中にあって、近所の百均屋や文房具でそれらしいものを探したのだが、結局見つからなかった。が、段ボール箱から吉田拓郎のブックカバーと一緒に発見されたのは、なんと、何も書かれていない、白い本だった。これには本当に驚いた。親父によると、これも妹さんのものらしい。「これに書いたら?」声が聞こえたような気がした。





〈結び〉今現在、生きながら、「死ね!」などと平気で言う人もあれば、今はもういない、亡くなった後もなお、優しく、導いてくれる人もあるんだということを思い知った。

降ろすべきものは躊躇なく降ろす。もし、このことに罪悪感を感じた場合にはこの罪悪感からまず降ろす。

乗せるべきものを乗せる。必要不可欠なものだけを乗せる。今後積み込む荷々の為、最大限の遊びを拵えておくことをお忘れなく。

もし、この一連の作業に紛れて、妥協が乗り込もうとして来やがった場合には、躊躇なく、これを殺す。

「別に殺さなくても降ろしてやりゃいいじゃないんですかい?」

あ、お前妥協やろ。殺す。

たぶん13年。13年かあ...と思った。

あと4日。あと4日で、13年間、連れ添ったこの携帯番号ともお別れだ。

この番号を介して、色んな人と関わったなあ、色んなことがあったなあ...なんて感慨は何だかものすごく情けないような気がするのでやめる。

だって、13年も経てば、車だってボロボロになるだろう。思えば俺は13年間、番号も、自分自身も、一旦やめて、破棄して、変えるということをしてこなかったんだから、これはまぁ、当然といえば当然の成り行きで、早かれ遅かれみたいな話なんだろう。

老朽化した番号を破棄。老朽化した自分を破棄。

これ以上ないくらい良いタイミングじゃねぇか。これ以上ないくらい良いタイミングで生まれた、これ以上ないくらい良いアイデアじゃねぇか。

手を打つ。

「私は港の息づまるような澱んだ空気に堪え切れなくて、港の外は嵐であっても、帆をあげたいのです。憩える帆は、例外なく汚い。私を嘲笑する人たちは、きっとみな、憩える帆です。何も出来やしないんです」

写真を添付し忘れてた。

これが、うちのばあちゃんが長年愛用していたナショナル電気ストーブです。

見ておわかりの通り、オーブントースターを「ただ立ててみただけ」みたいな感じです。したがって、これを横に、仰向けに寝かせて使えば、パンはもちろんのこと、餅だってもちろん焼けると思われます。

ただ、オーブントースターとは違って、いつまで経っても「チーン!」とはいわないので、焼き上がりを見計らって我々が「チーン!」って言う必要があるかと思われますが、もし友達を失いたくなければ「チーン!」なんて言う必要はさらさらないようにも思われますが、それでもどうしても言いたいようであれば、蚊のなくような声で、「本当は言いたくないんだよ」みたいな悲しい顔をして、ためらいがちに、「チ、チーン...」という分には全く問題ないかと思われますが、間違えても「チーン!!!」などと叫んじゃ駄目です捕まります。

しっかしまあ急激に寒くなった。

部屋の温度計は13、4度を差していて、手がかじかんでまともに本も読めない。着れるだけの服を着て達磨に変身したら、さすがに達磨、寒くなくなった。でも、指先だけは相変わらず俺のままで、本が読めないので、隣の部屋に行って、何か暖房器具はないものかと探してみたら、この、うちのばあちゃんが長年愛用していたナショナルの電気ストーブを発見した。

暖かい。ナショナル暖かい。「スペシャル」的に「ナショナル」を使ってみたら、意外としっくりきたので、他にも色々と活用してみた。

ナショナル旨い。

ナショナルプライス。

ナショナリスト。

B21ナショナル。

私にとってナショナルな人。

初回限定ナショナルBOX。

徹子の部屋3時間ナショナル。





レトロな電気ストーブの前で達磨が本を読んでいる。

近所の人に笑顔で挨拶ができる。煙草屋でタバコを購入した際などに笑顔で「ありがとう」と言える。

人間、これだけできれば生きていく価値、十分あるように思う。

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プロフィール

いっけい

ビートルズ好きの両親の元、ビートルズを子守唄に育ち物心が付く前から音楽に慣れ親しむ。
学生時代からいくつかのバンドを結成し関西を中心にライブに明け暮れる。
現在はソロでの音楽活動に加えイラストも手掛けるマルチアーティストとして活動の幅を広げている。

いっけいの楽曲が聴ける!! MySpaceはこちら

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